元上尾署員に対する刑事訴訟
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/26 14:22 UTC 版)
「桶川ストーカー殺人事件」の記事における「元上尾署員に対する刑事訴訟」の解説
被害者からの告訴改竄のため懲戒免職となった3人の元上尾署員は、虚偽有印公文書作成・同行使の罪で起訴され、元刑事二課長と元係長に懲役1年6カ月、元課員に同1年2カ月、全員に執行猶予3年の判決が言い渡された。さいたま地裁は量刑事情のなかで、「住民が警察を訪ねるのは警察に行けば何とかしてくれるという藁をも掴む思いがあるからである。その訴えに真摯に耳を傾け、事態に誠実迅速的確に対応してこそ警察である」と指摘した上で、まず元二課長について次のように述べた。 被告人が同事件を所管する刑事第二課長として率先して同事件に取り組み上司と相談して捜査態勢を組み部下らを指揮して犯人逮捕に迅速な捜査を行っていれば、おそらくは(被害者)殺害という事態は起こらなかったと思われるのであり、取り返しのつかない結果を招いた同被告人の職務懈怠は誠に遺憾というほかない。同被告人は(被害者)殺害事件発生後内外の厳しい非難にさらされたのであるが、これは当然の報いというべきである。その職責をはたさずかかる事態を招いた同被告人としては、自己保身に走らず、自己らに対する右非難を甘受し、このことによる将来あるであろう不利益処分も恬淡として受け入れる心境になるべきだったのである。しかし同被告人は姑息にも(中略)捜査書類の捏造改竄を行い自己保身をしようとしたのであって、見苦しい限りである。 さらに元係長については「(二課長)とともに刑事二課捜査第一係の機能不全の原因を作っていた」などと同趣旨の指摘を行った。元課員については「犯人の早期逮捕に向けて捜査態勢を組むよう進言したり、犯人割り出しのために被疑者不詳のまま(A)方を捜索することを提案するなど、被告人ら3人の中ではもっとも誠実に取り組んでいた」としたが、元係長からの告訴状改竄の指示を安易に受け、また実行したことを「警察官の基本的職務に違背した」と指摘した。最後に地裁は署員の一連の対応について「警察に対する県民あるいは国民の信頼を大きく傷つけ、警察組織の信用を地に落としたのである。国民の協力なくしては成り立たない警察の諸活動に今後深刻な悪影響が出てくることも懸念されるといわなければならない」と指弾したが、その一方で被告人全員に謝罪と悔悟の情が見られ、大々的に報道されたことで社会的制裁も受けたとして、量刑について「酌むべき事情も認められる」とした。
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