作品意図
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/26 14:40 UTC 版)
「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」の記事における「作品意図」の解説
作中において語り手の京介が、彼にとって現実の妹である桐乃と、その桐乃が熱中する「妹萌え」作品に登場する妹キャラクターとの乖離を指摘する場面があるように、本作における京介と桐乃の関係は現実的な兄妹関係を志向して描かれており、従来の「妹萌え」作品との差別化が意図されている。 本作のヒロインである桐乃は読者からの人気の高い登場人物であるのと同時に、憎たらしくて鬱陶しい妹としても描かれているため、特にアニメ版では先の展開を知っている原作読者とアニメからの視聴者の間で好悪の評価が分かれたという。これに対し作者の伏見は、同様に好悪の評価が分かれている人物である来栖加奈子を例に、人気があると同時に批判的な評価も多いのは注目の表れであり、好ましい結果に転じることができる評価なのだという解釈を披露している。編集者の三木は、嫌いという感情は好きの反対ではなく相手に対する関心の一種であり、様々な感情が込められた概念なのだという趣旨の説明をしており、作中に描かれているのは、普段は嫌い合いつつも時折相手を気遣ったりするような兄妹の絆なのだとしている。 また本作は副次的な内容としておたく文化に関する話題を扱っているが、従来あった作品よりもおたく文化の深い部分やインターネットの事物、敬遠されがちな性風俗などの話題に踏み込むことも意図されており、アダルトゲームなどを含む実在の作品名や団体名、ウェブサイトといった固有名詞、インターネットスラングなども頻繁に登場する。また読者が肌で興味を感じているであろう今風の話題を取り入れようという考えから、プロパガンダには踏み込まない範囲で時事問題を扱ったエピソードもある。おたく文化を肯定的に描く一方で、例えばインターネット上のおたく文化では否定的に捉えられていたケータイ小説を擁護する場面が盛り込まれるなど、様々な事柄に関する既存の社会的評価を覆してその魅力を再確認しようという試みも意図されている。 アニメ版のプロデュースを手掛ける岩上敦宏は、本作には勇み足に楽しさや面白さを追求し続ける姿勢があるとしている。
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