住居跡とその周辺
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/07/18 03:55 UTC 版)
「テオパンテクアニトラン」の記事における「住居跡とその周辺」の解説
テオパンテクアニトランには、 Lomeríos地区と呼ばれる居住に供された地区がある。II期に「拡大家族」の単位で暮らしていたと考えられ、複数の家屋が中庭を囲む形で構成されている。S5住居と呼ばれる石の壁の基礎を持つ長方形の建物とS6住居と呼ばれる岩と丸石で基礎を築き、アドベの壁を持つ建物の調査が行われて、成果があがっている。 Lomeríos地区ではさまざまな生活用品が発見されている。例えば、漁労用のおもりと思われる切りこみの入った石や、紡錘車と推察される土製円盤、長方形のすり皿(メタテ)とすり棒(マノ)が発見された。土器については単色で調理用に用いられた大皿、甕、鉢がみられた。 一方で土器類には生活に限定しえないと思われるものも出土している。刻線でオルメカの独特な「裂けた手」のモチーフを施文した平底で口縁部がおおきく外反する皿、そのほか彩色されて刻線で文様が刻まれたもの、表面を白っぽくするためにスリップがかけられたもののほかに、オルメカに特徴的な人間とネコ科動物と爬虫類をかけあわせた信仰の対象の形になるよう型を用いてつくった円筒形で明るい茶色の色調の土器も見られる。 またぽっちゃりした赤ん坊の形をした中空の土偶がおびただしい量出土している。中空でない土偶は、彩色されてターバン状のものを頭につけていたり、前に垂れさがるかぶりものをしているものがみられる。赤ん坊の顔をした土偶のなかには、頭蓋変形を施し、後ろに巻いた髪以外をすべて剃りおとしているものもみられる。 また装飾品としてシマメノウやゲレロ州産の蛇紋岩を用いた薄い糸巻き状の耳環、おびただしい金雲母製の小円盤、鉄鉱石製の鏡がS5住居跡から発見されている。 住居跡の周囲には、屋外炉や作業空間、貯蔵、埋葬、ゴミ穴などに用いられるフラスコ状土坑が設けられていた。 ゴミ穴として使用されたS5住居跡のフラスコ状土坑の内部には、イヌの遺骸が半分以上で、バルサス川産のナマズや淡水性の生き物、カニ、ウサギ、若いアカシカ、オジロジカなどが確認され、これらの動物が食糧とされていたことがわかった。また花粉分析でトウモロコシが食用とされていたことが推定された。
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