以後への技術的波及
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/05 06:56 UTC 版)
「東急5000系電車 (初代)」の記事における「以後への技術的波及」の解説
本系列の注目点の一つとして、、当初から付随車を組み込んだMT編成であることが挙げられる。直角カルダン駆動の大トルク電動車が、軽量なトレーラーを牽引することで、製造コストを低減できると同時に、カルダン駆動用の高速電動機による瞬間的な消費電力をある程度抑制することが可能であった。 この時期に現れたいわゆる「高性能電車」においては、起動加速度を2.7km/h/sから3.3km/h/sに引き上げるため全電動車方式を積極的に取り入れる例が多く存在した。具体的にはWN駆動方式と小形主電動機の組み合わせによるもので、特に同時期の1067mm狭軌の私鉄に良く見られる方式である。また日本国有鉄道(国鉄)のモハ90系電車(後の101系)も、駆動方式が違うものの同様の設計理念である(なお、101系は中空軸平行カルダン駆動方式を採用していた)。しかしこの方式では製造費や給電施設の強化などの初期投資が割高で、急増し切迫する輸送需要に対応しなければならない状況では現実的でなかった。このため大半の鉄道事業者(国鉄を含む)ではMT編成の新車を大量生産する結果となった。 モノコックの車体構造、いわゆる張殻構造によるボディの軽量化は航空機では一般的だが、鉄道車両用としての利用はその後も相鉄5000系電車などの例があるものの、最終的にはあまり広まらなかった。これは丸みの強い形状のため通常の電車と比較しても断面積が小さく、足元にまで曲面が現れる構造で混雑時の詰め込みが効かないことなどが問題となったためである。またモノコックの性質上、部分的な荷重・応力には弱いために、のちの冷房化など設備追加を伴う大規模な改造も困難であったことが結果的に世代交代を早める原因となった。また、腐食・老朽によるダメージも通常より大きいものとなるため整備コストが上がり、大型の車体には導入しにくいなどの問題もある。このような理由から、鉄道車両においてモノコック構造の応用はあまり進まず、セミ・モノコック構造(準張殻構造)が多用されるようになった。
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