他国海軍での開発
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/09 16:51 UTC 版)
「ナポレオン (戦列艦)」の記事における「他国海軍での開発」の解説
1844年~45年にかけて、タヒチやモロッコへのフランスの介入や、より強力な海軍を提唱する印刷物の出版によって、英仏協商が崩れたことで海軍の建艦競争が起きた。イギリスは1840年代にはすでに少数の蒸気スクリュー推進の沿岸戦闘艇を持っていた。この船は応急的に浮き砲台に450 hp (340 kW)の中型蒸気エンジンを載せ、5.8~8.9ノットの速力が出せる小型の戦闘艦としたもので、ブロックシップと呼ばれた。 またイギリス海軍は多くの蒸気推進スループを発注しており、1843年にラトラー(HMS Rattler)(参考:ラトラー対アレクト)は世界初のスクリュー駆動軍艦となった。さらに英仏両国は蒸気フリゲートの開発も進めた。フランスでは1845年にポモナ(Pomone)が進水し、1年遅れてイギリス側もアンフィオン(Amphion) を完成させた。しかし、ナポレオンは進水した初の主力蒸気軍艦だった。1847年にイギリスは蒸気スクリュー戦列艦ジェームズ・ワット(HMS James Watt)を設計したが、この計画は非常に遅れたためこの船が稼働し始めたのは1854年になってからだった。姉妹艦であるアガメムノン(HMS Agamemnon)は1849年に建造が注文され、1853年1月に海軍籍に配置された。他にも、帆走戦列艦であったサンス・パレイル(HMS Sans Pareil)が建造中に蒸気船に改造され、1851年の3月に進水した。この船はアガメムノンより早い1852年11月には稼働状態に置かれた。イギリスが保有する軍艦の蒸気船への更新にあまり積極的でなかった理由は、作戦範囲が長距離・世界的規模に及び、まだこの時代は帆走が最も信頼のおける推進方式だったためである。最終的に木造蒸気軍艦による艦隊を発展させたのはフランスとイギリスの両国のみであった。また、イギリスからの技術援助を元にこの種の軍艦を建造もしくは改造によって少なくとも1隻以上保有した国が数か国(ロシア、トルコ、スウェーデン、シチリア、デンマーク、オーストリア)あった。フランスは総計で10隻の木造蒸気戦列艦を新しく建造し、既存の28隻の帆走戦列艦を蒸気推進に改造した。一方のイギリスは18隻を新造し、41隻を改造により賄った。
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