他のヨーロッパの王朝と統治者
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 07:25 UTC 版)
「フルール・ド・リス」の記事における「他のヨーロッパの王朝と統治者」の解説
イングランドとスコットランドのクラウン・ジュエルにおいて、フルール・ド・リスはかなり大きな位置を占める。前述のようにイングランド王家(プランタジネット朝以降)はフランスのヴァロワ朝とフランス王位を争い、イングランドと敵対していたスコットランドは「敵の敵」であるフランス王家の同盟国であった。イギリスの紋章では、フルール・ド・リスはさまざまに使用されており、紋章のシステム(cadency)では6番目の息子の紋章を意味する。花のふち飾り(ダブル・トレッシャー・フローリー(double tressure flory)あるいは フローリー・カウンターフローリー(flory counterflory)は、ジェームズ1世以来、スコットランド王家の紋章の重要な装飾部である。 高貴なるフルール・ド・リスジェイムズ王以来かの楯を取り巻く —サー・ウォルター・スコット、「最後の吟遊詩人の歌」 フィレンツェのフルール・ド・リスでは、花びらの間に常におしべが配置される。この紋章の図形は「フィレンツェのユリ」としてよく知られており、従来のデザインとは区別される。フィレンツェのフルール・ド・リスは都市の紋章として、今でも司教聖ゼノビウスの像に見られる。フィレンツェの通貨フローリン金貨にはこのフルール・ド・リスが刻まれており、ハンガリーのフォリントや他のフローリン硬貨のデザインや通貨名に影響を与えることになった。イタリアの他の地域では、フルール・ド・リスは教皇の王冠と紋章、パルマ公国のファルネーゼ家、ヴェネツィアの総督などによって使用された。 フルール・ド・リスはボスニアのコトロマニッチ家の象徴でもあった。コトロマニッチ家は中世ボスニアの支配者でアンジュー家の後援を得ていた。ここでは花はボスニア・ヘルツェゴビナ原産のボスニアユリだと考えられている。フルール・ド・リスは1992年から1998年までボスニア・ヘルツェゴビナの国旗に使われた。現在ではボシュニャク人の民族的な象徴として使われている。 フルール・ド・リスは紋章としてさらに広まった。フルール・ド・リスを象徴として使用している都市のうち、「lily」にちなんだ都市名を使用しているところもある。例として、フランスのリール、フィンランドのリリェンダール(Liljendahl)がある。ユリにちなんだ地名の都市の紋章にユリの図柄を使うことを、紋章学の用語では「カンティング」と呼んでいる。 またその他、フルール・ド・リスは王朝の象徴として広く使われただけではなく、貴族に限らず例えば中世の銀行家フッガー家によっても使われた。
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