人形石(Ningyoite)
岡山県苫田郡上斎原村人形峠鉱山中津河鉱床
(U,Ca,Ce)2(PO4)2.1-2H2O 標本の幅約1cm
標本の黒色部分が人形石です。
鳥取県の人形峠で発見されたウランの鉱物です。
人形石
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/02 23:16 UTC 版)
人形石(にんぎょうせき・にんぎょういし[1]、 Ningyoite)は、1959年に発表された日本産新鉱物で、旧原子燃料公社の鉱床学者武藤正などにより、鳥取県の人形峠から発見された[2]。 化学組成は(U,Ca,Ce)2(PO4)2・1~2H2Oで、直方晶系。燐灰ウラン鉱と異なり、含まれるウランはウラニルイオンにならない。産出地の地名から命名された。
- ^ 山陽新聞社発行の『岡山県大百科事典』では「にんぎょういし」としているが、我が国の鉱物学会の一般的な認識としては、柘榴石(ざくろいし)など古くから呼びならわされている一部の例外を除いて、鉱物名の日本語の発音は「せき」を用いることとしている。人形石も、例えば日本産鉱物の最も権威ある記述誌である松原聰・宮脇律郎著『日本産鉱物型録』、東海大学出版会、2006年,では、にんぎょうせき、と発音されている。
- ^ Muto, T. et al. (1959): Ningyoite, a new uranous phosphate mineral from Japan. Amer. Mineral., 44, 633-650.
- 1 人形石とは
- 2 人形石の概要
人形石
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/21 08:59 UTC 版)
人形峠層のエリアには、川ができて古い花崗岩を侵食した。この花崗岩には微量のウランが含まれており、これがウラン溶液となって溶け出し、古人形谷の川底で堆積した。このウランを含む川底の砂が砂礫岩をつくり、人形峠周辺に高品位のウラン鉱を含む鉱床ができた。その代表を人形石(にんぎょういし、Ningyoite、(U,Ca,Ce)2(PO4)2?1?2H2O)と呼ぶ。人形石は日本で初めての本格的なウラン鉱石であり、資源価値を有する最も重要なウラン鉱物とされている。 人形石の理想式はCaU(PO4)2?nH2O(n=1~2)であるが、実際にはセリウムなどいくらかの希土類元素を含んでいる。黒色の粉状・微細柱状の新鉱物である。 人形峠付近のウラン鉱床は、古人形谷と、小鹿川や加茂川の上流に散在している。特に古人形谷では、人形峠と辰己峠にはさまれた東西10キロメートル、南北5キロメートルの範囲にいくつもの鉱床が発見されている。 これらの鉱床の中でも、特に有望なのが古人形谷の最上流端にある人形峠付近の鉱山で、人形峠鉱山と命名されている。ここでは、0.052%の品位を有する370万トンのウランが確認されている。 1次鉱石である人形石は鉱床の非酸化帯に分布し、黄鉄鉱、石膏や有機物とともに産出する。これが地下水に曝されて酸化すると、2次鉱石として燐灰ウラン石になり、褐鉄鉱などとともに産出する。人形峠付近でウラン鉱石となったものは、人形石と燐灰ウラン石のほか、閃ウラン鉱、燐銅ウラン石、カルノー石、ウラノピル石、ウラノフェン(英語版)、ベータウラノフェン (Beta-Uranophane)、ランキル石 (Ranquilite)、ウィークス石(英語版)、リンウラニル石(英語版)、ジッペ石(英語版)がある。
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