人形峠層
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/21 08:59 UTC 版)
2億4000万年前(中生代初期)に、本州造山運動と呼ばれる地殻変動が進行し、現在の日本列島に相当する地域が陸地化した。西日本では火山活動が活発になり、7000万年~3500万年前には中国地方の地下広くでマグマが上昇した。このマグマは地下で冷えて固まり、花崗岩(鳥取花崗岩)が形成された。この時の花崗岩は磁鉄鉱を多く含んでおり、のちに山陰のたたら製鉄の原材料になった。このあと、陸地全体が隆起したが、侵食を受けて地下の花崗岩が露出した。 このあと、鳥取県全域を含めて中国地方の広範な地域が、数千万年をかけて沈降し、海に没した。海中では火山の噴出礫や泥砂が堆積した。 約700万年前(新第三紀末期)頃から、海底にあった地域が再び隆起をはじめた。これによって中国山地が形成されるが、限られた地域だけが窪地になって堆積盆と呼ばれる水域(人形峠湖盆や古人形谷と呼ばれる)になった。鳥取県下では、三徳山周辺(三朝湖盆)と人形峠周辺で、窪地が水域になった。他の地域では、火山活動に由来する土壌の堆積と侵食が進んだが、この水域では谷底・湖底で泥砂が堆積した。こうして人形峠付近で形成された地層を人形峠層という。人形峠層は、人形峠付近から、高清水高原、恩原高原、辰己峠一帯に分布している。なお、三徳山周辺のものは三徳層と称する。 人形峠層は概ね数メートルの厚さがあるが、局地的には20メートルから30メートルの厚さを形成している。花崗岩の基盤上に、基底礫岩、アルコース砂岩、頁岩の順に積層している。このうち、底部の基底礫岩層やアルコース砂岩層は人形石に代表されるウラン鉱を含み、頁岩層には植物化石を多く含んでいる。
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