亥の子石
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/25 18:54 UTC 版)
旧暦10月の亥の日の夕方から翌朝早朝にかけて、地区の子供たち(男子のみの場合もある)が集まり一軒一軒を巡って、歌を歌いながら平たく丸いもしくは球形の石に繋いだ縄を引き、石を上下させて地面を搗く。石の重さも1kg~10kg程度と地方により異なる。地方によって歌の内容は異なるが、亥の子のための歌が使用される。歌詞は縁起をかつぐ内容が多いが例外もある。子供たちが石を搗くとその家では、餅や菓子、小遣いなどを振舞う。振る舞いの無い家では悪態をつく内容の歌を歌われることもある。石のほか藁鉄砲(藁束を硬く縛ったもの。愛媛県日土町では『わらすぼ』と呼ばれる。同町では作成時、ハスイモの茎を芯として入れ込み、より大きく快い音を出す工夫をしていた子供もいた)を使う地方もある。藁鉄砲を使う事例により、東日本における旧暦10月10日に行われる同様の行事、十日夜(とおかんや)との類似性が指摘できる。 石を搗いた後は各家庭の庭先に石の形に半球の穴がのこり、大きいほど喜ばれた。またその風景が初冬の風物詩であったが、近年はコンクリートなどで舗装している場合がほとんどで、小さな畳を持ち運びその上で搗いたり、空中で搗く動作だけを行ったり、引き合うことでこすったりする地方もある。 なお、昭和40年代に、この時期になると準備や亥の子歌の練習に夢中になり、宿題や勉強がおろそかになることなどから、学校が亥の子行事を禁止し廃れてしまった地域もある。 また、「公民館行事」として保護奨励され未だ興隆している地域(愛媛県宇和島市吉田町など)もある。 愛媛県今治市菊間町では一軒一軒をまわるための小さい石を「いのこさん」。宿で使う石を「ごうりんさん」と呼ぶ。石を搗いた跡を踏むとバチが当たるとされ、跡を踏んだ人の髪の毛を三本抜く地区もある。宿とは最後の家のことで、最近子供が生まれた家が宿になることが多いが少子化で最近子供が生まれていない地区は集会所を使うことがある。
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