五山版とは? わかりやすく解説

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ごさん‐ばん【五山版】

読み方:ごさんばん

鎌倉末期から室町末期にかけて、京都五山などの禅僧によって刊行された、禅籍・語録詩文集・経巻などの木版本


五山版

五山版の書物としての価値は、内容的にはその独立性・自由性にあり、外形的には日本的形態和本)の完成にある。独立とは仏教からの独立、自由とは宗教からの自由である。五山版は名目的には、まだ仏教界から完全に独立していないが、内容的に宗教枠組から大きくはみ出、文芸史伝教育ときには技術的なものにも手を出し仕事一部は俗社会人の手おこなわれた。これは五山版以前には、ほとんど見られない現象で、春日版高野版叡山版浄土教版などは、いずれも僧侶の手行われ開版されたものはすべて宗教書、すなわち仏典であった仏教書古く内典とよび、仏典以外の書物外典呼んだ。この呼び方からすれば、五山版以前出版物はすべて内典で、外典例外的にすくなく、五山版に至って文芸史伝などの外典刊行された。


五山版

読み方:ゴザンバン(gozanban)

鎌倉末~室町初期の書籍五山禅僧木版刷出版した


五山版

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/08/15 18:07 UTC 版)

五山版(ござんばん)は、時代の禅籍の出版隆盛の影響を受け、五山を中心として寺院で開版された刊本のことである。京都の五山が出版の中心であったが、鎌倉円覚寺の続灯庵などでも出版された。

概要

中世日本では、禅文化が盛んとなり、漢文学としての五山文学が興隆した。それに付随する形で自然と出版文化も起こることとなったのである。その多くは、日本に伝来した宋版や元版(宋元版)を底本として覆刻されたものであったため、木版印刷の古様を伝えるものが多く、書誌学的な資料価値が非常に高いものが多く存在する。

中世文化の中枢

川瀬一馬は、『五山版の研究』で次のように指摘する[1]

五山版は、単にわが中世における印刷文化の中枢であるのみならず、中世文化全般の中枢を担っていた。鎌倉時代から南北朝時代を経て室町時代末期に至る約四百年間の前期武家文化は、新たに大陸から招来された禅文化に拠って支えられ、それを踏まえて発展を遂げたと言つてよい。その間、武家に対し指導的役割を果したものは、禅僧であり、その文化指導者たる禅僧の最も中枢的な営みが、四百余種におよぶ禅籍・漢籍の出版事業である。これらの五山版は中世における他の宗派の出版活動、即ち、春日版高野版叡山版・浄土教版等が、その宗派内の教化活動に留まるのに対して、全くその文化史的意義を異にするものである。

出版の経緯

その他にも、『論語』、『論語集解』、『毛詩鄭箋』、『大学章句』、『古文真宝』等の外典(げてん)[2]も出版された。だが、応永中(1394年 - 1428年)あたりから往時の盛行が影をひそめ、応仁の乱より後は、全く刊行されなくなってしまった。

出典

参考文献




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