宝玲文庫
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/12 03:53 UTC 版)
「フランク・ホーレー (言語学者)」の記事における「宝玲文庫」の解説
ホーレーは書誌学に長け、日本語の古典籍を収集した。そのコレクションは「宝玲文庫」(寶玲文庫)と呼ばれる。 ホーレーのコレクションは第二次世界大戦前までに17,000冊を数え、とくに本草書(東洋医学に基づく薬物書)、捕鯨関係文書、琉球関係文書、和紙に関する文書、古辞書などが特徴である。本草書では、平安時代末期の写本である『香薬抄』、平安時代の写本『薬種抄』(高山寺本)、『宝要抄』(益田家本)などが代表的なコレクションだった。 戦時中に敵産管理法によって接収されるが、これを慶應義塾大学が買い入れ「寶玲文庫」として蔵書した。ホーレーが戦後すぐに再来日したのはこのコレクションを取り戻すためだったといい、空襲による焼失を免れた9,300冊あまりが慶應義塾大からホーレーに返還された。 ホーレーはまた、終戦直後の混乱期に全国で貴重な古典籍類が売りに出されていたのを買い集め、春日版・高野版・五山版をはじめ、稀覯な古写本・古活字本が保存されることになった。その中には平安時代以降の貴重な古典籍が多数含まれている。 1952年に特派員の仕事を退き、京都山科へ転居するにあたり、引越荷物には書物が貨物車2両分、さらに書棚を30数個あり、輸送費だけで60万円を要したという。 ホーレーが没した際、その蔵書約10,000点は競売にかけられ、散逸した。この競売を取り仕切った反町茂雄によれば、その売上は2,400万円に達する新記録になったという。コレクションのうち特に貴重なものでは、生前に譲渡された五山版約70点や和紙関係文書431点が天理大学附属天理図書館に収蔵、ほか古活字版文書10点が国立国会図書館に、琉球関係文書936点がハワイ大学に所蔵されている。また捕鯨関係の収集書はアメリカに渡った。
※この「宝玲文庫」の解説は、「フランク・ホーレー (言語学者)」の解説の一部です。
「宝玲文庫」を含む「フランク・ホーレー (言語学者)」の記事については、「フランク・ホーレー (言語学者)」の概要を参照ください。
- 宝玲文庫のページへのリンク