二種類の『縦置きV型二気筒エンジン』
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「モト・グッツィ」の記事における「二種類の『縦置きV型二気筒エンジン』」の解説
モト・グッツィが現在採用している縦置きV型二気筒エンジンは大きく分けて二種類存在する。一つは1965年に発表されたV7に搭載されていた大排気量向けのエンジン(通称ビッグツイン)と1970年〜90年代にかけてV35などの中間排気量車に搭載されていたエンジン(通称スモールツイン)である。この二つは外観こそ同じ縦置き90度V型二気筒エンジンであるがその内部構造は異なる。 ビッグツインエンジンは1950年代終わりごろからその構想が始まり、フィアット・500のスポーツモデルに搭載される予定だったが紆余曲折を経てイタリア防衛省の三輪駆動車「3×3」に採用され、さらにイタリア軍・警察からの要請でハイスピード時代に対応する高性能オートバイV7(1965年)のエンジンとして世に出ることになる。現在まで続くOHVビックツインエンジンやV1100エヴォルツィオーネエンジン、その進化系であるオット・ヴァルヴォレエンジンは全てこのV7のエンジンを祖としている。 一方スモールツインは1970年代に登場する。1970年代にイタリアで行われた税制改革で大排気量のエンジンには重い税率が課せられることになった。一方で350cc以下の中間排気量車は税制上優遇されたので大型排気量に偏重気味だったモト・グッツィもセールス的に中間排気量車が必要となり、中間排気量向けのエンジンが開発され1977年にそのエンジンを搭載した最初のモデルV50とV35がリリースされる。 従来の大型排気量エンジン(ビッグツイン)との構造上の違いはトランスミッションケースにリアスイングアームピボットが設けられていること。そのためドライブシャフトの経路を兼ねるスイングアームが直接トランスミッションケースに接続されている。エンジンの構造も多少違っており燃焼室はシリンダヘッド側ではなくピストン側にある。このエンジンは1984年にリリースされたV65ラリオ、V50モンツァII、V35イモラ搭載の際4バルブ化されグッツィ初の縦置きVツイン4バルブエンジンになった。 現行モデルで比較的小型であるV7クラシック、V7カフェクラシック、カフェレーサーを強く意識したデザインで2011年にリリースされたV7レーサーにはこの中間排気量エンジンの流れをくむエンジンが搭載されている。
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