二種類の戦争
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/15 15:16 UTC 版)
「カール・フォン・クラウゼヴィッツ」の記事における「二種類の戦争」の解説
クラウゼヴィッツの軍事思想の画期性は、戦争の二重構造を明らかにしたことに求めることができる。クラウゼヴィッツは戦争を研究する上で、当時ドイツで研究されていた観念論の哲学や弁証法の方法論に影響を受けていたことが指摘されている。戦争の概念がクラウゼヴィッツにより二種類に分かれていることは、当時のこの時代精神の文脈から理解することができる。まず戦争とは拡大された決闘であり、そこには暴力に基づいた相互作用が働いていると考える。この相互作用はエスカレーションをもたらすものであり、戦争における暴力の極大使用の原因ともされている。この暴力の相互作用は限界がないために、この法則に支配される戦争は、最終的には完全に敵を打倒する絶対的戦争に至るものとされている。しかし、このような絶対的戦争は現実の戦史には見られない戦争である。なぜならば、戦争における暴力の相互作用は政治的、社会的、経済的、地理的な要因によって抑制されるためである。特にクラウゼヴィッツは戦争が政治に対して従属的な性質を持っていることを指摘しており、殲滅戦争から単なる武装監視にいたるまで、あらゆる戦争の形態を政治は規定する、ことを論じている。これを定式化してクラウゼヴィッツは「戦争が他の手段を以ってする政治の延長」だと述べている。
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