二本鎖DNAの例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/19 00:57 UTC 版)
「センス (分子生物学)」の記事における「二本鎖DNAの例」の解説
DNA鎖1: アンチセンス鎖(転写される) → RNA鎖(センス) DNA鎖2: センス鎖 二本鎖DNA分子内のいくつかの領域は、遺伝子をコードする。遺伝子とは通常、タンパク質を作るためにアミノ酸が組み立てられる順序を指定する命令であり、調節配列(regulatory sequences)、スプライシング部位(splicing sites)、非コードイントロン(non-coding introns)、およびその他の遺伝子産物を含む。細胞がこの情報を利用するためには、DNAの一本の鎖が、RNAの相補鎖を合成されるするための鋳型として機能する。転写されたDNA鎖は、アンチセンス配列を持つ鋳型鎖と呼ばれ、そこから生成されるmRNA転写物はセンス配列(アンチセンスの相補体)と呼ばれる。また、転写鎖に相補的な非転写DNA鎖も、センス配列を持つと呼ばれ、mRNA転写物と同じセンス配列を持つ(ただし、DNAのT塩基はRNAのU塩基に置換されている)。 3′CGCTATAGCGTTT 5′ DNAアンチセンス鎖 (鋳型/非コード) 転写の鋳型として使用される。 5′GCGATATCGCAAA 3′ DNAセンス鎖(非鋳型/コード) 鋳型鎖に相補的である。 5′GCGAUAUCGCAAA 3′ mRNAセンス転写物 非コード(鋳型/アンチセンス)鎖から転写されるRNA鎖。注1: すべてのチミンが現在はウラシルである(T→U)ことを除いて、それは非コード(鋳型/アンチセンス)DNA鎖と相補的であり、コード(非鋳型/センス)DNA鎖と同一である。 3′CGCUAUAGCGUUU 5′ mRNAアンチセンス転写物 コード鎖(非鋳型/センス)から転写されるRNA鎖。注:すべてのチミンが現在ウラシルになっている(T→U)ことを除いて、コード(非鋳型/センス)DNA鎖と相補的であり、非コード(鋳型/アンチセンス)DNA鎖と同一である。 表の中で、それぞれの鎖に付けられた名前は、実際にはタンパク質の情報(「センス」情報)を含む配列をどの方向(英語版)に書いているかに依っており、どの鎖が「上」か「下」に描かれているかには依らない(これは恣意的である)。鎖を標識付けするために重要な唯一の生物学的情報は、5′リン酸基末端と3′ヒドロキシル基末端(当の鎖または配列の終端)の相対的な位置であり、これらの末端が転写と翻訳の方向を決定するからである。5′-CGCTAT-3′と書かれた配列は、3′-TATCGC-5′と書かれた配列と等価である(5′端と3′端が記載されている限り)。末端にラベルが表示されていない場合は、慣習的に両方の配列が5′から3′方向に書かれていると想定する。「ワトソン鎖」(Watson strand)は5′から3′の上側の鎖(5′→3′)を指し、「クリック鎖」(Crick strand)は5′から3′の下側の鎖(3′←5′)を指す。ワトソン鎖もクリック鎖はどちらも、それらから作られる特定の遺伝子産物に応じて、センス鎖またはアンチセンス鎖のいずれかになる。 たとえば、アメリカ国立生物工学情報センター(NCBI)データベースで使用されているURA3遺伝子の別名である「YEL021W」という表記は、この遺伝子が酵母(Y)のV番染色体(E)の左腕(L)のセントロメアから21番目のオープンリーディングフレーム(ORF)にあり、発現コード鎖がワトソン鎖(W)であることを示している。「YKL074C」は、XI染色体のセントロメアの左側にある74番目のORFであること、コード鎖がクリック鎖(C)であることを示す。また「プラス」と「マイナス」の鎖を指す別の紛らわしい用語も広く使われている。鎖がセンス(正)であるかアンチセンス(負)であるかにかかわらず、NCBI BLASTアライメントにおけるデフォルトのクエリ配列は「プラス」鎖である。
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