事例・研究結果
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/11 14:43 UTC 版)
「エコーチェンバー現象」の記事における「事例・研究結果」の解説
イデオロギー的なエコーチェンバーは、何世紀にもわたって様々な形態で存在してきた。エコーチェンバー現象は、そのほとんどが政治分野において起こるものとされる。 マクマーティン保育園裁判を取り上げて批判的に検討し、ピューリッツァー賞を授与されたデビッド・ショーは、1990年の一連の記事の中で次のように記した。「これらの訴えは、結局のところ一つも立証されなかったが、メディアは、大事件が起きた時にしばしばそうなるように、概ね集団となって行動し、記者たちの書く記事も放送される内容も、お互いを参照しあいながら、恐怖のエコーチェンバーを創り上げていた。 (None of these charges was ultimately proved, but the media largely acted in a pack, as it so often does on big events, and reporters' stories, in print and on the air, fed on one another, creating an echo chamber of horrors.)」」 この事件についてショーは、報道機関の「根本的な欠陥があらわになった (exposed basic flaws)」とし、「怠慢、浅薄、馴れ合い (Laziness. Superficiality. Cozy relationships)」や、「最新の衝撃的な主張を最初に伝えようと躍起になって探る姿勢 (a frantic search to be first with the latest shocking allegation)」で、ジャーナリズムの原則である「公正と懐疑 (fairness and skepticism)」を「記者や編集者たちはしばしば放棄している (Reporters and editors often abandoned)」と述べた。さらに、「しばしばヒステリー、センセーショナリズム、さらに、ある編集者の言葉を借りれば「群衆リンチ症候群」が、そこに直結されていく (frequently plunged into hysteria, sensationalism and what one editor calls 'a lynch mob syndrome.')」とも述べた。 クリントン大統領とモニカ・ルインスキーのスキャンダル(ルインスキー・スキャンダル)の報道の経緯を検証した『タイム』誌1998年2月16日号の「Trial by Leaks」のカバーストーリーには、「プレスとドレス:わいせつ行為のリークの解剖、それはいかにしてメディアのエコーチェンバーの壁を跳ね回るのか (The Press And The Dress: The anatomy of a salacious leak, and how it ricocheted around the walls of the media echo chamber)」というアダム・コーエン(英語版)による記事が掲載された。この事例は、卓越したジャーナリズムのためのプロジェクト(英語版)によって深く検討され、『The Clinton/Lewinsky Story: How Accurate? How Fair?』がまとめられた。 2014年秋に始まったゲーム・コミュニティによる、いわゆるゲーマーゲート論争における攻撃と、ジャーナリスト側の反応は、エコーチェンバーであったと考えられる エコーチェンバーは、イギリスの欧州連合離脱(ブレクジット)の是非を問う国民投票にも結び付けられることもある。 2016年アメリカ合衆国大統領選挙は、メディアにおけるエコーチェンバーについての大量の言説を引き出した。銃規制や移民労働者のような先入観に沿って判断される主題に関する情報は、選挙民たちに、既に同意している情報と見なされ、吸収されやすい。Facebook は、利用者に自身の立場と一貫性をもったポストをするよう示唆していると思われ、このために多様な見解が示されるよりは、既に確立された立場の表明の反復となりがちである。ジャーナリストたちの論じるところでは、意見の多様性は真の民主主義に不可欠であり、それによってコミュニケーションが促されるのに対し、エコーチェンバーは、Facebook で起きていることが示すように、むしろコミュニケーションを阻害するのだとされる。一部の論者たちは、2016年アメリカ合衆国大統領選挙におけるドナルド・トランプの勝利において、エコーチェンバーは大きな役割を果たしたと考えている。
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