中国共産党政府との確執
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2017年にはアメリカ・ニューヨークにあるトランプタワーを訪れ、ソフトバンクの孫正義に続いて海外のIT企業経営者としては2人目のドナルド・トランプ次期アメリカ合衆国大統領の会談相手となり、その場で馬は5年間でアメリカ国民100万人の雇用を創出すると約束した。馬はトランプの側近ジャレッド・クシュナーと親しかったことから実現し、孫の会談の際も仲介を行ったとされる。しかし、大統領選挙期間中に中国に対して雇用喪失の責任を負わせる発言を繰り返していたトランプと事前承認なしに面会したことで中国政府との軋轢が生じたとされる。 2018年9月10日、アリババ会長の職を翌2019年に退き、張勇(英語版)(ダニエル・チャン)CEOを後継に据えると表明。その予告どおりに55歳の誕生日である2019年9月10日にアリババグループの会長職を退任し、2020年9月30日にはアリババグループの取締役も退任した。このほか2020年6月25日にはソフトバンクグループの取締役も退任した。 トランプとの独自会談で政府の不興を買った後も、馬は自ら非公式外交と位置づけて、2018年から2020年にかけて国際連合のアントニオ・グテーレス事務総長、ヨルダンのラーニア王妃、マレーシアのマハティール・ビン・モハマド首相などと会談を実施。杭州市の本部にあるアリババ博物館にて海外からの訪問客をもてなした。2018年には中国共産党に入党していることが人民日報で報じられた。 しかし2020年10月24日、上海で開かれた金融機関の幹部や金融監督当局や政府の要人が出席した会合で馬はスピーチを行い、中国政府批判を繰り広げる。政府による国内の金融規制が技術革新の足かせとなっており、経済成長のためには改革が必要だと指摘したほか、中国の銀行は質屋程度の感覚で営業しているとまで発言。事前にスピーチの内容を把握した関係者は穏当な内容に変更するよう進言したが馬は聞き入れず、批判を浴びせられた政府当局高官は面子を潰され、アリババグループの規制へと突き進んだ。その結果、11月5日に上海と香港で予定されていたアリババグループ傘下のアントグループの新規上場が2日前の11月3日に突如延期された。新規株式公開(IPO)が実施されていれば370億ドル(約3兆8300億円)を調達できるはずであった。政府による締め付けはその後も様々な民間セクターに及んだ。
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