世界の気候と雨
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/15 21:36 UTC 版)
世界では地域によって、雨の降り方は全くと言っていいほど異なる。極端な例では、1分間に30mmあるいは1日に1,500mmもの豪雨が降る地域がある一方、1年に1mmも雨が降らない地域も存在する。おおまかな傾向として、高緯度地域よりも低緯度緯度の方が雨が多く、また大陸では内陸部よりも沿岸部の方が雨が多く、気温の高さや水の供給源からの近さが影響を与えている。しかし、緯度と雨量は単純に対応しているわけではない。地球を南北に見ると雨量の多い地域は2つあり、1つは暖気が上昇し続ける赤道付近の熱帯、もう1つは寒気と暖気がせめぎ合う中緯度の温帯・亜寒帯である。 世界の年間降水量(雪を含む)を平均すると、陸上では約850mm、海洋では約1250mm、地表平均では約1100mmと推定されている。古い資料では世界平均で800mm程度とされていることがあるが、新しい調査で海洋のデータが判明したことで値は上方修正されている。 熱帯雨林気候を呈する赤道付近では、貿易風が収束する熱帯収束帯で積乱雲が発達しやすく、対流性の強い雨が毎日のように降る。温帯湿潤気候・亜寒帯湿潤気候を呈する中緯度では、亜寒帯低圧帯に沿い前線や低気圧の活動が活発であり、層状性の雲から広く雨や雪が降る一方、寒暖差が大きいため対流性の雨も降る。特に亜熱帯や温帯の地域では、1時間雨量の最大値は熱帯とほぼ変わらない。 一方、熱帯と温帯に挟まれた乾燥帯の地域は亜熱帯高気圧に覆われ気流が発散し、雲ができにくいため雨が少ない。ただし、この緯度にあってもアジア・アフリカ・北米・南米の大陸東岸では海洋性の高気圧からの南寄り(北半球の場合。南半球では北寄り)の辺縁流や暖流の影響で湿潤となり、年間を通して雨が多い温暖湿潤気候となる。 これらの気圧帯は季節変化に伴い南北に移動する。これにより、季節により雨量が著しく変化する地域がある。乾燥帯寄りの熱帯に位置するサバナ気候や熱帯モンスーン気候の地域では、雨季と乾季が明瞭に現れ、年間雨量の9割が雨季に集中する。一方、ヨーロッパの地中海沿いは夏に高圧帯、冬に低圧帯に入るため冬に雨が多く夏に乾燥する地中海性気候となる。 降水量の極値については「降水量」を参照
※この「世界の気候と雨」の解説は、「雨」の解説の一部です。
「世界の気候と雨」を含む「雨」の記事については、「雨」の概要を参照ください。
- 世界の気候と雨のページへのリンク