ワッカーマンらによるもの(2003年)
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「テレパシー」の記事における「ワッカーマンらによるもの(2003年)」の解説
2003年、神経科学の専門家にはよく知られている専門誌「Neuroscience Letters」(en:Neuroscience Letters)にワッカーマンらによる実験の報告論文が掲載された(Wackermann et al., 2003)。この科学誌「Neuroscience Letters」は、まじめな専門誌である。 ワッカーマンらは、脳波測定とfMRI(機能的磁気共鳴画像法)を駆使して実験を行い、「二人の隔離された人間の間で脳活動が同期発生する」という可能性を示した。ワッカーマンはドイツ・フライブルクにある先端領域心理学研究所Institute for Frontier Areas of Psychologyに属している。 実験は対照群を設定して行われた。対照群というのは、科学的実験に不可欠とされる比較グループのことである。実験群と同じ母集団から選ばれた被験者(や動物)から成り、実験群とまったく同じ条件下で、実験処置だけを省いた同一の操作を加え、得られた結果を実験群の結果と比較する。これによって、実験群に見られた変化が、本当に実験処置によるものかどうかを検証することが可能になる。(→対照実験)。 ワッカーマンは実験で、23歳から57歳までの一般市民男女38人を採用。内訳は17組のペアと4人の個人。17組のペアのうち10組は、夫婦・友人・親類など、互いに感情的に「関係がある(つながりがある)」と感じる人たちだった。残りの7組は「関係がない」と感じる他人同士であった。ただし、「関係がある」と感じる10組の中にも双生児は含まれていなかった。「互いに関係がある」と感じる10組の中の7組と、「関係がない」という7組の、計14組を実験群とし、「関係がある」と感じる残り3組と、4人の個人被験者を対照群として、次のように行われた。 まずは、「関係のある/なし」にかかわらず、ペアの2人に1人ずつ、隣り合う部屋に入ってもらう。部屋は外部から音も光も遮断され、電磁気的にも隔離された密室となっている。 実験群ペアの場合は、片方の被験者に部屋のビデオスクリーンを通じて、一定の視覚刺激パターンを見せる。このパターン提示は1秒間で、これは3.5秒から4.5秒間隔で、72回提示する。そして同時に、この被験者の頭部 6箇所に設置した電極から、脳波を記録する。一方、隣室にいるもうひとりの被験者は、静かに待機しているだけで視覚刺激は与えられない。だが、この被験者からも脳波を同時記録する。 対照群ペアの場合は、被験者たちはまったく同じ条件下に置かれるが、視覚刺激だけは与えられない。 どちらの場合でも、被験者たちは、お互いが隣室で何をしているのかは、まったく知らない。
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