ワイン観光
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/14 16:09 UTC 版)
オレゴン州のワイン生産の名声が高まるにつれて、ワイン観光(wine tourism)はオレゴン州の重要な産業に進化していった。現地販売はオレゴン・ワイン生産産業でその重要性を次第に増しており、それに関連して宿泊施設、レストラン、アートギャラリーなど観光客を対象とした産業も、ダンディーなどの以前は目立つことの無かった農業地帯を中心に栄えてきている。ワイン・フェスティバルやワイン・テイスティングは一般的に行われるようになった。推計によれば2004年、ワイン観光産業はオレゴン州の経済に9200万米ドルの貢献を果たした(ワイナリーやテイスティング・ルームでの売り上げを除く)。多くの観光客が集まる主要なイベントに、国際ピノ・ノワール祭、オレゴン・ピノ・キャンプがある。 カリフォルニア州のナパ・ヴァレーAVAを始めとするワイン醸造の一等地と比べて、オレゴン州はワイン観光を目的とした施設の設置に遅れを取っている。オレゴン州で一泊の観光をする人々の内、ワイナリーを訪れる者はわずか5%しかおらず、これはカリフォルニア州の栽培地域の10%〜25%に比べてかなり低い数値となっている。オレゴン州では高所得者層を対象とした高級ホテルや高級リゾートなど、他の州のワイン醸造地域ではよく見られる宿泊施設が不足している。2006年8月、オレゴン州の名門ワイナリーであるドメーヌ・ドルーアン・オレゴンの所在地ダンディーにリゾートホテルの建造が予定された。現地の開発業者デイヴィッド・カーンは、同地に50部屋を構えるホテル、スパ、レストランの建造を提案したが、ジ・アイリー・ヴィンヤーズのデイヴィッド・レットなど多くのワイン醸造業者は同地域の景観を著しく損ねる可能性があり、また予定地が一等のワイン栽培地域であることからリゾートホテルよりもワイン生産に用いるべきであるとして、反対運動を起こした。 ワイン観光の人気の高まりは、カジノの存在などと相俟って、ウィラメット渓谷の交通インフラストラクチャーに多大な影響を及ぼした。オレゴン州道99号線西(Oregon Route 99W)はウィラメット渓谷の心臓部分を貫く主要幹線道路である(ニューバーグやダンディーのメインストリートの機能も果たしている)が、頻発する交通渋滞に悩まされている。現在、ニューバーグとダンディーを主要栽培地域をかわしながらバイパスする高速道路の建造計画が進行中であるが、物議を醸している。現在この高速道路建造プロジェクトは資金援助を受けておらず、オレゴン州交通局はこの新バイパス道路を同州では非常に珍しい有料道路にする案を提出している。さらに、新バイパス道路だけでなく99号線西にも交通料金を課すことを提案している。この提案は大きな議論を醸しており、多くの現地住民は一般的な有料道路に対する嫌悪感を抱いているほか、99号線西沿いの産業に悪影響を及ぼす可能性があるとして同計画に反対運動を起こしている。
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