ローレンス・ハモンドによる発明
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/12 17:00 UTC 版)
「電子オルガン」の記事における「ローレンス・ハモンドによる発明」の解説
ハモンド・オルガンが開発された時代、既にいくつか実験的な真空管式オルガンが開発されてはいたが、ローレンス・ハモンドは、音源に電子回路を使用せずに物理的にアナログの信号を発生させる機構を用意して、それをスピーカーへと増幅する最後の過程に真空管を使用するという構想を進めた。磁気ピックアップの前に鉄製歯車を設置し、歯車をモーターで回転させると、ピックアップのコイルに交流電流が発生する。回転数一定で歯車の刻みを各種用意すれば、種々の音程を生み出せるようになったのである。この機構は比較的単純で実用に耐える耐久性を提供したが、内部に駆動部と大量の歯車を抱える方式のため小型化や軽量化は難しく、後にトランジスタ製品やLSI製品の普及とともに、人々がもっと軽量な楽器を求めるようになったのも自然な動きであった。しかし当時の基準では、真空管が最低限で済み信頼性も高かったので、第二次世界大戦中から戦後にかけ、アメリカ軍は世界中に礼拝用としてハモンド・オルガンを持参していくこととなった。 なお、ハモンド・オルガンは開発当初、教会や劇場を主要な市場と想定していたので、機能面で教会用オルガンを意識している。しかし音に関しては何かの模倣ではなく、あらゆる音を合成可能な新しい楽器の実現(一種のシンセサイザー)を目指していた。例えばハモンドが1937年開発した真空管式電子楽器ノバコードは、ノブの調整でオーケストラやバンドサウンドと同様な効果を得る事ができた。この楽器は、有名な映画/ラジオ/テレビのサウンドトラック製作に採用され、その後シンセサイザーが登場する1960年代まで第一線で使用された。 1940年代に入ると、電子オルガンの市場は家庭向けやポピュラー音楽用途にも広がり、他のメーカも次々と同様な技術に基づく電子オルガン(ストップ付き)を発売した。
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