ラグビーウェールズ代表
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/12 23:39 UTC 版)
ユニオン | ウェールズラグビー協会 | ||
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愛称 | レッドドラゴンズ | ||
エンブレム | プリンス・オブ・ウェールズの羽根 | ||
グラウンド | ミレニアム・スタジアム | ||
収容人数 | 74,500 | ||
ヘッドコーチ | ![]() |
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主将 | デヴィ・レイク | ||
最多キャップ | アラン・ウィン・ジョーンズ (158) | ||
最多得点選手 | ニール・ジェンキンス (1,049) | ||
最多トライ選手 | シェーン・ウィリアムス (58) | ||
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初国際試合 | |||
![]() ![]() (1881/2/19) |
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最大差勝利試合 | |||
![]() ![]() (2004/11/26) |
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最大差敗戦試合 | |||
![]() ![]() (1998/6/27) |
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ラグビーワールドカップ | |||
出場回数 | 10 (1987年初出場) | ||
最高成績 | 3位, 1987 |
ラグビーウェールズ代表 (ラグビーウェールズだいひょう、ウェールズ語: Tîm rygbi'r undeb cenedlaethol Cymru, 英: Wales national rugby union team) は、ウェールズラグビー協会 (en:Welsh Rugby Union)が組織するラグビーユニオンのナショナルチームである。愛称は「レッドドラゴンズ」(Red Dragons)。 エンブレムはスリーフェザーズ(三枚の羽根)。
概要
シックス・ネイションズの一つであり、ホーム・ネイションズによる合同チームである「ブリティッシュ・アンド・アイリッシュ・ライオンズ」にも参加している。ホームスタジアムは、首都カーディフにあるミレニアム・スタジアム。
1970年代は、ガレス・エドワーズ、バリー・ジョン、フィル・ベネット、J・P・R・ウィリアムズなどのスター選手を擁した。エドワーズが主将を務めた時代以降、ウェールズ代表はファイブ・ネイションズ・チャンピオンシップで3回のグランドスラムを含む7度の制覇を果たした。
しかし、ワールドカップ1987での3位獲得以降はワールドカップでプール戦敗退が続き、低迷が続いた。
ワールドカップ1999のウェールズ大会開催を機に再び強化に乗り出し、2005年、2008年にシックス・ネイションズにおいてグランドスラムを達成した。
2022年12月5日、ワールドカップ2023まであと9か月の時点でヘッドコーチのウェイン・ピヴァックが成績不振を理由に解任され、前回ワールドカップ2019まで12年間務めたウォーレン・ガットランドがヘッドコーチに復帰した[1]。
2023年1月29日、ウェールズラグビー連盟(WRU)最高経営責任者(CEO)のスティーブ・フィリップスが辞任した。組織内に女性蔑視や性差別、人種差別、同性愛嫌悪があったと告発するテレビ番組がBBCで放送され[2]、批判を浴びていた[3]。
2023年2月25日のシックス・ネイションズのイングランド戦は、一部所属選手の契約がまとまらず、選手によるストライキ・試合中止が危惧されたが[4][5]、直前に回避された[6]。
ワールドカップ2023において、2023年10月7日ジョージア代表戦[7]に勝利したのを最後に、翌週10月14日アルゼンチン代表戦[8]で敗れ、後述2025年7月12日の日本代表戦での勝利[9]まで、21か月にわたりテストマッチ18連敗を喫した[10][11]。
2025年2月8日、2025年シックス・ネイションズ第2節で、ウェールズ代表はテストマッチ14連敗を記録[12]。これによりワールドラグビーランキングは、史上最低の12位に転落した[13]。2月11日、ウエールズラグビー協会は、ウォーレン・ガットランドHCが双方合意により退任することを発表した[14]。
2025年6月から日本遠征を行い、7月5日の日本代表との第1戦は19-24(前半19-7)で敗れ、テストマッチ18連敗となった[15]。これにより2025年7月7日付けのワールドラグビーランキングは14位に落ち、2003年10月のランキング導入以来、歴代最低の順位となった[16]。その翌週7月12日にアウェーで日本代表に31-22(前半21-10)で勝利し[9]、連敗記録が644日(21か月)でストップ[17][10][11]。2025年7月14日付けランキングが12位に戻った。
愛称
レッドドラゴンズ
英語圏や日本のメディアでは「レッドドラゴンズ」(赤い竜)という語句が使われる[18]。フランスではウェールズ代表は解説者によってしばしば「Diables Rouges」(赤い悪魔)と呼ばれる。その起源は不明だが、この称号は現在慣習化しており、映像メディアで広く使われている。しかし、「赤い悪魔」という愛称はいくつかのスポーツチーム(主にサッカーのマンチェスター・ユナイテッドやベルギー代表)に対して使われる。この愛称はイギリスのメディアでは広く使われていないが、時に目にすることもある[19]。
カムリ
愛称ではなく、ウェールズ語でウェールズを「Cymru(カムリ)」と表記する。ウェールズ内でのメディアでは、カムリの呼称も一般的[20]。
成績
ラグビーワールドカップ
- 1987年 - 3位
- 1991年 - プール戦敗退
- 1995年 - プール戦敗退
- 1999年 - ベスト8
- 2003年 - ベスト8
- 2007年 - プール戦敗退
- 2011年 - 4位
- 2015年 - ベスト8
- 2019年 - 4位
- 2023年 - ベスト8
- 2027年 - 出場権獲得
シックス・ネイションズ
2025年3月16日現在
![]() イングランド |
![]() アイルランド |
![]() スコットランド |
![]() ウェールズ |
![]() フランス |
![]() イタリア |
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試合数 | 135 | 137 | 137 | 137 | 102 | 32 |
単独優勝(カッコ内は同時優勝)回数 | ||||||
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
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ホーム・ネイションズ時代 | 5 (4) | 4 (4) | 10 (3) | 7 (4) | 該当せず | 該当せず |
ファイブ・ネイションズ時代 | 17 (6) | 6 (5) | 5 (6) | 15 (8) | 12 (8) | 該当せず |
シックス・ネイションズ (現在) | 7 | 6 | 0 | 6 | 7 | 0 |
合計 | 29 (10) | 16 (9) | 15 (9) | 28 (12) | 19 (8) | 0 (0) |
グランドスラム(全勝優勝)回数 | ||||||
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
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ホーム・ネイションズ時代 | 0 | 0 | 0 | 2 | 該当せず | 該当せず |
ファイブ・ネイションズ時代 | 11 | 1 | 3 | 6 | 6 | 該当せず |
シックス・ネイションズ (現在) | 2 | 3 | 0 | 4 | 4 | 0 |
合計 | 14 | 4 | 3 | 12 | 10 | 0 |
トリプルクラウン(ホーム・ネーションズ(英4か国)内での全勝)回数 | ||||||
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
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ホーム・ネイションズ時代 | 5 | 2 | 7 | 6 | 該当せず | 該当せず |
ファイブ・ネイションズ時代 | 16 | 4 | 3 | 11 | 該当せず | 該当せず |
シックス・ネイションズ (現在) | 5 | 8 | 0 | 5 | 該当せず | 該当せず |
合計 | 26 | 14 | 10 | 22 | 該当せず | 該当せず |
ウドゥン・スプーン(最下位チーム賞)回数 | ||||||
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
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ホーム・ネイションズ時代 | 7 | 10 | 5 | 6 | 該当せず | 該当せず |
ファイブ・ネイションズ時代 | 10 | 15 | 15 | 10 | 12 | 該当せず |
シックス・ネイションズ (現在) | 0 | 0 | 4 | 3 | 1 | 18 |
合計 | 17 | 25 | 24 | 19 | 13 | 18 |
選手
ウェールズ代表スコッド(日本遠征メンバー、2025年7月9日現在[21])
- 暫定ヘッドコーチ
マット・シェラット
ワールドラグビー男子ランキング
[22] | 上位30チーム(2025年7月7日時点)|||||
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順位 | 変動* | チーム | ポイント | ||
1 | ![]() |
92.78 | |||
2 | ![]() |
90.98 | |||
3 | ![]() |
89.83 | |||
4 | ![]() |
88.90 | |||
5 | ![]() |
![]() |
86.72 | ||
6 | ![]() |
![]() |
82.98 | ||
7 | ![]() |
82.36 | |||
8 | ![]() |
82.08 | |||
9 | ![]() |
79.52 | |||
10 | ![]() |
77.77 | |||
11 | ![]() |
74.69 | |||
12 | ![]() |
![]() |
73.70 | ||
13 | ![]() |
![]() |
72.68 | ||
14 | ![]() |
![]() |
72.65 | ||
15 | ![]() |
70.02 | |||
16 | ![]() |
67.34 | |||
17 | ![]() |
67.06 | |||
18 | ![]() |
66.44 | |||
19 | ![]() |
65.46 | |||
20 | ![]() |
64.61 | |||
21 | ![]() |
61.72 | |||
22 | ![]() |
59.98 | |||
23 | ![]() |
59.49 | |||
24 | ![]() |
59.18 | |||
25 | ![]() |
57.87 | |||
26 | ![]() |
57.16 | |||
27 | ![]() |
57.01 | |||
28 | ![]() |
56.53 | |||
29 | ![]() |
55.26 | |||
30 | ![]() |
54.06 | |||
*前週からの変動 | |||||
ウェールズのランキングの推移 | |||||
生のグラフデータを参照/編集してください. |
|||||
出典: ワールドラグビー[22] 推移グラフの最終更新: 2025年7月7日 |
ワールドラグビーが発表するデータにもとづく。
2019年8月19日付および翌週26日付の2週にわたり、1位となった。それまでの1位だったニュージーランドが不調でポイントを下げ、2位のウェールズが2019年8月17日イングランドに勝利したことによる。ニュージーランドは、前週まで509週連続1位だった[23]。
2023年2月25日、ホームゲームでイングランドに10-20で敗戦[24]。それまでの9位から10位に下落した。10位となるのは2013年2月4日以来のこと。
2025年6月から日本遠征を行い、7月5日に13位日本代表との第1戦は19-24(前半19-7)で敗れ[15]、これにより2025年7月7日付けのワールドラグビーランキングは12位から14位に落ち、2003年10月のランキング導入以来、歴代最低の順位となった[16]。その翌週7月12日にアウェーで日本代表に31-22(前半21-10)で勝利し[9][10][11]、2025年7月14日付けランキングが12位に戻った。
その他の記録
- 2001年6月3日、秩父宮ラグビー場でサントリーに41-45で敗れた(ノンキャップマッチ)[25]。
- ラグビーワールドカップ2007年第7回大会の予選プールでは4試合中2勝2敗で勝ち点12を上げるも予選3位で敗退した(1999年第5回大会以降4試合で勝ち点最多12の敗退は2015年第9回のラグビー日本代表と並ぶ)。
- 2013年に日本に遠征を行いテストマッチで敗れた。詳細は2013年ラグビーウェールズ代表の日本遠征を参照。
- ワールドカップ2023において、2023年10月7日ジョージア代表戦[7]に勝利したのを最後に、翌週10月14日アルゼンチン代表戦[8]で敗れ、後述2025年7月12日の日本代表戦での勝利[9]まで、21か月にわたりテストマッチ18連敗を喫した[10][11]。
北九州市との関わり
ラグビーワールドカップ2019の出場に際しては、主に西日本各地を転々として事前キャンプを行ったが、その中でキャンプ地の一つ・北九州市との関係を強くしていった。
北九州市では大会本番の試合は無かったが、サッカークラブ・ギラヴァンツ北九州のホームスタジアムである北九州スタジアム(ミクニワールドスタジアム北九州)でキャンプを行った。そして一般公開された2019年9月16日には、スタジアムに詰めかけた多くの市民がウェールズの“国歌”である「カロン・ラン」を原語で歌って迎えた。またその他の場面でも北九州市は全市規模でウェールズを応援する態勢を敷いた。
大会後、ウェールズラグビー協会は福岡県の新聞に北九州市への謝意を示す全面広告を出稿。一方北九州市もこれに応え現地の新聞に答礼広告を出稿した。
そして2020年2月22日、ウェールズラグビー協会と北九州市との間で「ラグビーワールドカップ2019のレガシーの一環としてのウェールズラグビー協会と北九州市との友好・協力関係に関する覚書」が締結された[26]。
2025年7月5日にはミクニワールドスタジアムで日本代表とテストマッチを行い、19-24で日本に敗れた。
脚注
- ^ “ラグビーW杯前年にウェールズ代表の指揮官交代。ピヴァック解任、ガットランドが復帰。(ラグビーリパブリック(ラグビーマガジン))”. Yahoo!ニュース. 2023年2月27日閲覧。
- ^ “Wales rugby: Former women's boss says colleague made rape jibe” (英語). BBC News. (2023年1月22日) 2023年2月27日閲覧。
- ^ “ウェールズラグビー連盟CEOが辞任、組織内で差別との告発”. www.afpbb.com. 2023年2月27日閲覧。
- ^ “ウェールズラグビー、選手がストライキ突入の可能性”. www.afpbb.com. 2023年2月27日閲覧。
- ^ “ウェールズラグビーのスト危機、指揮官はイングランド戦開催に自信(AFP=時事)”. Yahoo!ニュース. 2023年2月27日閲覧。
- ^ “ウェールズラグビーのスト回避、イングランド戦開催へ:時事ドットコム”. 時事ドットコム. 2023年2月27日閲覧。
- ^ a b “Rugby World Cup: Wales 43-19 Georgia - Louis Rees-Zammit hat-trick helps Wales top Pool C” (英語). BBC Sport. (2023年10月7日) 2025年7月12日閲覧。
- ^ a b “Wales 17-29 Argentina: Pumas seal World Cup semi-final spot with victory in Marseille” (英語). BBC Sport. (2023年10月14日) 2025年7月12日閲覧。
- ^ a b c d JRFU. “リポビタンDチャレンジカップ2025 日本代表vsウェールズ代表 |大会・試合情報|日本ラグビーフットボール協会”. www.rugby-japan.jp. 2025年7月12日閲覧。
- ^ a b c d 編集ラグリパ編集部 (2025年7月12日). “日本代表、連勝ならず。ウエールズは連敗を18でストップ。 - ラグビーリパブリック”. 2025年7月12日閲覧。
- ^ a b c d “The day Wales' 644-day misery ended as players barely able to stand amid the tears”. X @WalesRugby - WalesOnline Rugby. 2025年7月13日閲覧。
- ^ 編集ラグリパ編集部 (2025年2月9日). “【シックス・ネーションズ】アイルランドがスコットランドを制す。唯一の2連勝、4トライでBPも獲得。 - ラグビーリパブリック”. 2025年2月12日閲覧。
- ^ 編集ラグリパ編集部 (2025年2月11日). “2月10日付の世界ランキング発表。ウエールズが過去最低の12位にダウン。 - ラグビーリパブリック”. 2025年2月12日閲覧。
- ^ 編集ラグリパ編集部 (2025年2月11日). “ウエールズ代表のウォーレン・ガットランドHCが退任。マット・シェラット氏が暫定指揮へ。 - ラグビーリパブリック”. 2025年2月12日閲覧。
- ^ a b Crichard, Kieran; Green, Sam; Corrigan, James (2025年7月5日). “Wales’ nightmare worsens with 18th straight defeat as they wilt against Japan” (英語). The Telegraph. ISSN 0307-1235 2025年7月5日閲覧。
- ^ a b 編集ラグリパ編集部 (2025年7月7日). “7月7日付の世界ランキング発表。日本は1ランクアップの12位、ウエールズは2ランクダウンの14位に。 - ラグビーリパブリック”. 2025年7月7日閲覧。
- ^ “Wales ends 644-day drought with thrilling win over Japan!”. X @rugbyontnt - Rugby on TNT Sports. 2025年7月13日閲覧。
- ^ Rugby World Cup limited. “クラシックマッチ:ウェールズ対南アフリカ”. 2019年11月1日閲覧。
- ^ “WALES TOUR of SOUTH AFRICA 1964”. 2019年11月1日閲覧。
- ^ “When you see Wales actually win a game of rugby”. X @JNPhillips4 - Jamie Phillips. 2025年7月13日閲覧。
- ^ a b JRFU. “ウェールズ代表来日メンバーのお知らせ|日本ラグビーフットボール協会”. www.rugby-japan.jp. 2025年7月4日閲覧。
- ^ a b “Men's World Rankings”. ワールドラグビー. 2025年7月7日閲覧。
- ^ “世界ランキングでウェールズが初の1位! 約10年間、509週連続トップだったNZは2位へ - ラグビーリパブリック” (2019年8月19日). 2022年12月12日閲覧。
- ^ worldrugby.org. “ワールドラグビー”. www.world.rugby. 2023年2月27日閲覧。
- ^ ◇サントリーが偉大な歴史を作った◇ - 大野晃のラグビー通信 第20号 2001年6月4日付
- ^ 『ウェールズラグビー協会との覚書(レガシー協定)の締結について』(PDF)(プレスリリース)北九州市市民文化スポーツ局、2020年2月13日 。2023年9月30日閲覧。
関連項目
外部リンク
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