ヨーロッパの政治条項
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 14:30 UTC 版)
「ヴェルサイユ条約」の記事における「ヨーロッパの政治条項」の解説
第三篇(31条から117条)ではヨーロッパ各国の政治について定められた。 ベルギーの永世中立を定めたロンドン条約は現状に適さなくなったため破棄し、新たな条約を締結してベルギーの独立を保障する。リエージュ西方のプロイセン領、両国間の共同統治領域であり、中立地帯であった中立モレネを正式にベルギーに編入する。 ドイツは過去の条約でルクセンブルクにおいて認められていた権益を放棄する。またルクセンブルクの永世中立放棄に同意する。 ドイツはライン川左岸50kmの地域における築城・駐屯・動員を行えない。これに違反することは、条約署名国に対する敵対行為とみなす。 ドイツはフランス北部の炭鉱に与えた損害の補償として、ザール地方の炭鉱所有権を譲渡する。また、条約で定義したザール地域の行政は、国際連盟が指名した施政委員会によって行われる。また15年後に住民投票を行い、その結果によってザール地域の帰属を決定する。帰属がドイツに決定した場合には、炭鉱の所有権はドイツが買い戻すことができる。 アルザス=ロレーヌ地域の一部が普仏戦争によってドイツに編入された措置は不当であり、休戦条約締結の日をもって、フランスに復帰する。 オーストリアの独立は国際連盟の承認が無い限り、ドイツ国が変更してはならない(アンシュルスの禁止)。 チェコスロバキア・ポーランドの独立と国境線の確定。飛び地となった東プロイセンの国境が定められる。メーメルを含む北東地域は放棄する(クライペダ地域(英語版))。南部地域(アレンシュテイン(現在のオルシュティン)とマリエンヴェルダー(現在のクビジニ(英語版))を中心とする地域)については住民投票の後に帰属を決定する。 ダンツィヒは自由都市化し、国際連盟の保護下に置く(自由都市ダンツィヒ)。 ドイツはヘルゴラント島に設置した要塞・港湾設備を破壊しなければならない。 ドイツは1914年8月1日以前の旧ロシア帝国領諸国の独立を承認し、尊重する。またボリシェヴィキ政府と結んだブレスト=リトフスク条約など一切の条約・協定の失効を確認する。
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