ヨーダンパ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/20 21:40 UTC 版)
ヨーダンパなし ヨーダンパあり JR東日本E531系電車のヨーダンパ ボルスタアンカー(上)とヨーダンパ(下)を併設する近鉄21000系電車の台車 ダンパの一種であるヨーダンパは、蛇行動抑制のために車体と台車に接続されるものである。台車の左右両側に配置して、ヨーイングによる両側で逆位相の前後振動を減衰させる。上記のような側受構造を持たない、ボルスタレス台車に主に用いられる。ダンパはその特性から、速い動きにのみ抵抗し、ゆっくりした動きにはあまり抵抗しない。この特性により、曲線部における台車のゆるやかな回転は許容しつつ、高速振動である蛇行動のみを抑制する機構である。 右図はヨーダンパの役割を模式的に示したものである。ボルスタレス台車においては、台車の回転は空気ばねの変形により行われる。とくに抑制機構のない場合は、空気ばねの減衰特性のみにより蛇行動に抵抗することとなる。一方、ヨーダンパは車体と台車の前後方向を拘束するように取り付けられる。台車は曲線通過時に回転しなければならないため、ヨーダンパ自体は伸縮を許容する構造となっているが、その伸縮部は高速振動を減衰させる機構を有しており、蛇行動を抑制する効果を発揮する。 ヨーダンパ採用による高速車両用ボルスタレス台車は、フランスのTGVで初めて実用化された。日本においては、新幹線や特急形車両のほか、最高速度120km/h(JR東日本では130km/h)以上の近郊形電車を中心に採用されている。上記の通り、ボルスタアンカ・側受構造の代わりとして開発されたものなので、通常ボルスタレス台車に装備されるものだが、特殊な事例としては近鉄21000系電車のように、ボルスタアンカー付きの台車にヨーダンパを装着している例も存在する。また、新幹線E6系電車では、新幹線区間に加えて、曲線が多く曲線半径も小さい在来線区間を走行するため、減衰力切替式のヨーダンパを装備し、在来線区間を走行する際は減衰力を低減させて曲線通過性能の向上を図っている。 通常のヨーダンパは台車-車体間で機能・配置されるものだが、新幹線のような高速車両では、編成の車体間にもヨーダンパが装備される場合がある。通常のヨーダンパと区別して車体間ヨーダンパと呼ばれる。車体ヨーイング振動をさらに低減させる効果を発揮する。日本においては、新幹線500系電車で初めて採用された。
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