ヨウジウオ・とは? わかりやすく解説

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ようじ‐うお〔ヤウジうを〕【×楊枝魚】

読み方:ようじうお

ヨウジウオ目ヨウジウオ科の海水魚内湾アマモの茂る所にすみ、全長30センチ。体は著しく細長くて骨板に覆われ黒褐色。吻(ふん)は管状。雄の尾部育児嚢(いくじのう)があり、雌の産みつけた卵を保護する近似種にヒフキヨウジ・オクヨウジなどがあり、混称される


ヨウジウオ

学名Syngnathus schlegeri 英名:Pipe fish
地方名ウミヘビオノコヒバシ 
脊椎動物門硬骨魚綱−ヨウジウオ目−ヨウジウオ科
色 形 長崎・日本・世界 住みか 動画

※出典:長崎県水産部ホームページ
著作権尼岡 邦夫

特徴
体と口先細長くタツノオトシゴ長く伸ばしたような形である。沿岸の浅い藻場生息し、特に内湾に多い。また、砂底の上でも見ることができる。体色は様々で不規則な模様があるものや、緑がかった銀色のものなどがある。産卵期3月中旬から6月である。雄の体の腹面育児用の袋があり、その中で卵やふ化仔魚育てる。

分布:北海道以南日本各地ウラジオストックトンキン湾 大きさ:30cm
漁法:  食べ方: 

楊子魚

読み方:ヨウジウオ(youjiuo)

ヨウジウオ科の海水魚

学名 Syngnathus schlegeli


楊枝魚

読み方:ヨウジウオ(youjiuo)

ヨウジウオ科の海水魚

学名 Syngnathus schlegeli


ヨウジウオ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/24 04:50 UTC 版)

ヨウジウオ
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
: ヨウジウオ目 Syngnathiformes
: ヨウジウオ科 Syngnathidae
: ヨウジウオ属 Syngnathus
: ヨウジウオ S. schlegeli
学名
Syngnathus schlegeli
Kaup, 1856
シノニム[2]
  • Sygnathoides schlegeli (Kaup, 1856)
  • Syngnathus acusimilis Günther, 1873
英名
Pacific seaweed pipefish

ヨウジウオ(楊枝魚、学名:Syngnathus schlegeli)は、ヨウジウオ科に属するアマモ場でよく見られる底魚である[2]。特殊な薬効成分を持つことから、中国伝統医学で最も有名かつ高価な材料の一つとして知られている[3]

分類と名称

1856年にドイツ博物学者であるヨハン・ヤーコプ・カウプ英語版によって、日本と中国をタイプ産地として記載された[4]。種小名は本種に関する記述を残したヘルマン・シュレーゲルへの献名[5]

分布と生息地

北西太平洋ウラジオストク近郊、トンキン湾南部に分布する。日本沿岸で広く分布し、浅いアマモなどの海草藻場に生息する[6]。日本では北海道から九州南部および瀬戸内海など、南西諸島を除くほぼ全域で見られる。日本以外では朝鮮半島中国沿岸に分布する[7]。5-10月の繁殖期に海草藻場で発生し、冬から早春にかけては、水温の暖かい沖合の深海に留まる[8]。地理的分布は幅広く、多様な気候条件と微小な生息地を含む[9]

形態

体は細長く、吻は管状で長く、末端に口がある[10]。他のヨウジウオ類と同様に、歯は無く、吻の先端に顎がある。管状の硬い吻は、特殊な神経頭蓋骨から成る[11]。幼魚の標準体長は5.5-14.7cmで、成魚では13.3-27.7cmである[6]。体色は主に茶色で、淡い模様がある[10]タツノオトシゴ属と比較すると、多くのヨウジウオ類の吻は比較的長く狭い。非常に小さな背鰭と胸鰭を持ち、これを素早く羽ばたかせて前進し、頭を使って方向転換する。遊泳力のある大きな尾鰭が無いため、背鰭と胸鰭によって体を制御する。泳ぎが苦手なため、主に浅瀬の海藻や海草の中に生息する[11]。その形状と色によって周囲の植物に溶け込み、天敵と獲物の目を欺く。尾鰭扇子のような形をしており、海草に尾鰭や細長い体を巻き付けている時がある。

生態

摂食

最も速く獲物を捕らえる魚類の一つである。視覚で獲物を見つけ、水中を活発に泳ぎ回って獲物を探す。獲物を選ぶ際は追跡の容易さを重視し、獲物の色や、小さな群れを探す。ヨウジウオは泳ぎが遅く、獲物に逃げられると追いつくことが出来ない為、獲物を驚かせないように、ゆっくりと接近する必要がある。体液の乱れを抑える特殊な頭部構造を発達させており、獲物に発見される可能性を低減している。吻部を獲物からわずか数mmの距離にまで近づけ、頭を体から離して素早く口を動かすことで獲物を捕らえる。この爆発的な頭の回転により、一定の体勢を保つことができる。吻部が長いほど、より遠くの獲物を捕らえることが出来る。吻の形態は捕獲できる獲物のサイズを決定する。幼魚は小型の獲物のみを食べることが出来るため、獲物の種類は少ないが、成魚になるとより幅広い獲物を食べることができるようになる。肉食魚であり、カイアシ類端脚類などの小型甲殻類、魚、魚卵、動物プランクトンを捕食する[11]

繁殖

タツノオトシゴ属と同様、雄が出産する魚として有名である[12]。雌は繁殖期に、雄の育児嚢に800 - 1000個ほどの卵を産み付ける。繁殖期は5-10月まで、6ヶ月以上続く。ヨウジウオ属の他種も同様に長い繁殖期を持つ[6]。卵は育児嚢の中で成長し、育児嚢は性成熟とともに発達する[13]。育児期間は14-28日で[8]、幼魚は育児嚢から出ると、自由生活を始める[9]。魚の幼魚としては珍しく、生まれたばかりであっても完全に発達した捕食能力を備えている[11]一夫多妻制であり、雌の繁殖率は雄よりも高いため、雌は複数の雄と順番に交尾する[8]。交尾が終わると、雄のみが卵を世話する[9]

人との関わり

国際自然保護連合レッドリストでは、低危険種とされている[1]。タツノオトシゴ属など、同科の他の種ほど広く研究されてはいないが、依然として人間の活動による脅威に直面している。海草藻場、サンゴ礁、マングローブなどに依存しており、外洋の生息地では繁殖できない。ヨウジウオの生息する沿岸生息地は、開発、汚染、気候変動の影響にさらされている。また、混獲される可能性もある。沿岸生息地を保護するための保全活動が行われており、その一つに海洋保護区の設置が含まれる。海洋保護区により、ヨウジウオは自然の生息地で繁殖し続けることができる[14]。本種については更なる研究が必要であり、生態系における本種の役割や、個体群動態をよく理解する必要がある[1]

体が細長く肉が少ない事に加え、体表も骨も硬いため、食用としての価値はない。風変わりな姿で、水族館などで飼育されたり、熱帯魚屋にペット用として出回ることもある[1]

出典

  1. ^ a b c d Pollom, R. & Ouyang, L. (2016). “Syngnathus schlegeli”. The IUCN Red List of Threatened Species 2016: e.T188065A67026644. doi:10.2305/IUCN.UK.2016-3.RLTS.T188065A67026644.en. 
  2. ^ a b Froese, Rainer and Pauly, Daniel, eds. (2018). "Syngnathus schlegeli" in FishBase. February 2018 version.
  3. ^ Khan, Sher Bahadar; Qian, Zhong-Ji; Ryu, BoMi; Kim, Se-Kwon (2009-08-01). “Isolation and biochemical characterization of collagens from seaweed pipefish, Syngnathus schlegeli” (英語). Biotechnology and Bioprocess Engineering 14 (4): 436–442. doi:10.1007/s12257-009-0007-1. ISSN 1976-3816. https://link.springer.com/article/10.1007/s12257-009-0007-1. 
  4. ^ CAS - Eschmeyer's Catalog of Fishes Syngnathus”. researcharchive.calacademy.org. 2025年5月5日閲覧。
  5. ^ Order SYNGNATHIFORMES: Families AULOSTOMIDAE, CENTRISCIDAE, FISTULARIIDAE, SOLENOSTOMIDAE and SYNGNATHIDAE”. The ETYFish Project Fish Name Etymology Database. Christopher Scharpf (2025年3月19日). 2025年5月5日閲覧。
  6. ^ a b c Watanabe, Satoshi; Watanabe, Yoshiro (2001-05-01). “Brooding season, sex ratio, and brood pouch development in the seaweed pipefish, Syngnathus schlegeli, in Otsuchi Bay, Japan” (英語). Ichthyological Research 48 (2): 155–160. doi:10.1007/s10228-001-8130-9. ISSN 1616-3915. https://link.springer.com/article/10.1007/s10228-001-8130-9. 
  7. ^ 片山英里 (2018)「ヨウジウオ」中坊徹次(編/監修)『小学館の図鑑Z 日本魚類館』p.188、小学館、ISBN 978-4-09-208311-0
  8. ^ a b c Sogabe, Atsushi; Takata, Hiromi; Kobayashi, Yasuhisa (2013-01-01). “Ovarian structure and mode of egg production in the seaweed pipefish Syngnathus schlegeli (Syngnathidae)” (英語). Ichthyological Research 60 (1): 85–88. doi:10.1007/s10228-012-0313-z. ISSN 1616-3915. https://link.springer.com/article/10.1007/s10228-012-0313-z. 
  9. ^ a b c Wang, Xin; Zhang, Zhixin; Mammola, Stefano; Ho, Adeljean L.F.C.; Zhang, Yanhong; Qin, Geng; Lin, Qiang (2021-05-04). “Exploring ecological specialization in pipefish using genomic, morphometric and ecological evidence” (英語). Diversity and Distributions 27 (8): 1393–1406. doi:10.1111/ddi.13286. ISSN 1366-9516. https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/ddi.13286. 
  10. ^ a b Chen, Zhi; Zhang, Yan; Han, Zhiqiang; Song, Na; Gao, Tianxiang (2017-05-06). “Morphological characters and DNA barcoding of Syngnathus schlegeli in the coastal waters of China” (英語). Journal of Oceanology and Limnology 36 (2): 537–547. doi:10.1007/s00343-017-6206-2. ISSN 2523-3521. https://link.springer.com/article/10.1007/s00343-017-6206-2. 
  11. ^ a b c d Manning, C. G.; Foster, S. J.; Vincent, A. C. J. (2019-06-01). “A review of the diets and feeding behaviours of a family of biologically diverse marine fishes (Family Syngnathidae)” (英語). Reviews in Fish Biology and Fisheries 29 (2): 197–221. doi:10.1007/s11160-019-09549-z. ISSN 1573-5184. https://link.springer.com/article/10.1007/s11160-019-09549-z. 
  12. ^ Sogabe, Atsushi; Mohri, Kie; Shoji, Jun (2012-07-01). “Reproductive seasonality of the seaweed pipefish Syngnathus schlegeli (Syngnathidae) in the Seto Inland Sea, Japan” (英語). Ichthyological Research 59 (3): 223–229. doi:10.1007/s10228-012-0278-y. ISSN 1616-3915. https://link.springer.com/article/10.1007/s10228-012-0278-y. 
  13. ^ Watanabe, Satoshi; Watanabe, Yoshiro (2002-11-01). “Relationship Between Male Size and Newborn Size in the Seaweed Pipefish, Syngnathus Schlegeli” (英語). Environmental Biology of Fishes 65 (3): 319–325. doi:10.1023/A:1020510422509. ISSN 1573-5133. https://link.springer.com/article/10.1023/A:1020510422509. 
  14. ^ Vincent, A. C. J.; Foster, S. J.; Koldewey, H. J. (2011-06-08). “Conservation and management of seahorses and other Syngnathidae” (英語). Journal of Fish Biology 78 (6): 1681–1724. doi:10.1111/j.1095-8649.2011.03003.x. ISSN 0022-1112. https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1095-8649.2011.03003.x. 

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