ユングの説明
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/01 04:19 UTC 版)
「マザーコンプレックス」の記事における「ユングの説明」の解説
ユングの場合には、その原因は人類に共通の無意識である集合的無意識にあるとし、アーキタイプ(元型)であるグレートマザーにその原因を求めた。彼によると全て男性は女性の人格を無意識の中に秘めており、それが自らの精神であり永遠の女性の輝きを放っているという。女性性は初め母親の上に投げかけられており、近親相姦的な母子一体の世界観を作り上げている。それは心的な宇宙における子供の世界であるが、やがて母親も一人の人間であることを子供は知り、母親と対決することにより自らの心的世界に理想の女性とするアニマを作り上げるのである。この過程において、母に対して限りない英知と母なる大自然のイメージ、子としての絶対的信頼の感情があるとされ、これは肯定的なマザーコンプレックスと言われる。 マザーコンプレックスは男性に多いと一般に考えられているが、ユングの研究によると、実際には純粋な肯定的なマザーコンプレックスは女性に多いとされる。男性の場合は、母は一人の異性であるためアニマの元型が混合しており、母であり恋人のような雰囲気を拭い去れないのに対し、女性はアニムス的なものが入らない限り母と娘を繰り返し、母のような目で夫を見るため、多く干渉し支配を行おうとする。さらに一方では夫の伴侶であり、自分自身の個性が全く育たない。さらにこの状況において女性が空虚であることは、男性側に対しそこにあらゆるものが存在するという神秘のイメージを与える。 これに対し、否定的なマザーコンプレックスは男性にとっては自己去勢を伴い性的不能を招く可能性が高いとされる。だが、この場合も純粋なマザーコンプレックスは女性に多く見られるという。この場合女性は男性にとっては要求が多く、合理的であり、自然的なものを拒否する。 だが、こうしたものがある一方で、実母の権力を打ち破るために知性を養った場合は、優れた判断力を持ち性愛を超え男性を理解出来る女性もごくまれに生まれるという。こうした場合は結果的にはすばらしい人間になり、結婚生活も良好に進むことが多いという。
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