ユングの分析心理学における無意識概念
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/11 15:58 UTC 版)
「無意識」の記事における「ユングの分析心理学における無意識概念」の解説
幼少期に周囲からの道徳的影響という抑圧によって形成されるというフロイトの無意識は、その成り立ちから内容は幼児的傾向のものに限られる。また、仮にある人間のすべての抑圧を解放してしまえば、そのすべての無意識の内容に対して、解釈するためのその人がかつて遭遇した抑圧の記憶が対応付け可能なはずである。 当初フロイトの熱心な信奉者であり、フロイトと共に無意識の世界に魅了されていたカール・グスタフ・ユングは、精神分裂症患者の観察経験から、次第にフロイトの考え方に疑問を抱くようになった。 例えば、ユングはあるとき、ある精神分裂症患者の述べる内的体験の内容が、ユングが読んでいたギリシャ語で書かれた古いミトラ教の祈祷書の内容に似通っていることに気づいた。フロイトの考え方に従い、因果的な解釈をすれば、その患者が以前にその本を読んでいたがなんらかの理由で無意識に押し込められていたものが発露したと解釈すべきである。しかしながら、その患者はギリシャ語を読めず、そもそもその本の出版もその妄想を述べた後であり、その患者がこのような内容を先に読んでいたとは考えられない。 遭遇しておらず知り得ない内容はフロイトの無意識にはなり得ない。そこでユングは、人間の無意識にはフロイトの無意識のようなその個人の生活と関連している個人的無意識(personal unconscious)以外に、他の人間とも共通に普遍性を持つ普遍的無意識(collective unconscious;集合的無意識)が存在し、しかもそれらは層を成していると考え、その考えに基づいて分析心理学(analytical psychology)を創始した。
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