ユニチカ跡地売却訴訟問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/02 04:05 UTC 版)
「佐原光一」の記事における「ユニチカ跡地売却訴訟問題」の解説
2014年(平成26年)10月9日、ユニチカは佐原宛に文書で、「市内曙町松並の豊橋事業所を2015年3月末までに閉鎖し、敷地は再開発を前提とする第三者へ売却する」旨の通知をした。提出された文書には「今後、敷地の売却及び開発を行うにあたり、豊橋市様にご相談させて頂きたい」と記載されていた。豊橋事業所は、不織布の自動車内装材や健康キノコのハナビラタケなどの生産拠点だったが、大部分が遊休地になっていた。 2015年(平成27年)4月9日、ユニチカが豊橋事業所を閉鎖する方針を固めたことが新聞等で報道された。同年10月1日、ユニチカは事業所跡地約27万平方メートルを積水ハウスに63億円で売却。この土地は1951年(昭和26年)4月にユニチカ(当時の社名は大日本紡績株式会社)が市から無償で譲り受けた旧軍用地で、締結された契約書には「大日本紡績株式会社は、将来敷地の内で使用する計画を放棄した部分は、これを豊橋市に返還する」と記載されていた。豊橋市民130人は無償で譲り受けた土地を売却したのは契約違反として、2016年(平成28年)8月23日、ユニチカに63億円の損害賠償を支払わせるよう、市長である佐原に求める訴えを提起した。原告団の団長は愛知大学名誉教授の宮入興一。 2018年(平成30年)2月8日、名古屋地方裁判所は住民側の訴えを認め、佐原に全額の請求を命じた。佐原は「賠償請求できる立場にない」として、2月19日、補助参加人のユニチカとともに控訴した。 2019年(令和元年)5月18日、積水ハウスがユニチカ跡地で造成を進める複合開発地「コモンステージ ミラまち」が一般公開される。 同年7月16日、名古屋高等裁判所は「工場などに使っていなかった一部の土地は返還義務があり、市は賠償請求すべきだ」として、訴えを全面的に認めた一審判決を変更し、佐原に約20億9千万円の請求を命じた。遅延損害金の請求も認めた。被告の佐原、補助参加人のユニチカ、原告側の住民がそれぞれ、7月29日付で上告した。 同年9月20日、佐原は積水ハウスから、複合開発地のラウンドアバウトに近接する弥生町中原の土地275平方メートルのうち10分9を購入した。 2020年(令和2年)7月21日、最高裁は同日付の決定で、住民側、市側双方の上告を退けた。約20億9千万円を請求するよう佐原に命じた二審判決が確定した。これを受けて佐原は8月27日付でユニチカへ賠償金と遅延損害金の支払いを求めた。8月31日、ユニチカは市に約26億円を支払った。
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