モールドボード・プラウ耕に関する問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/28 06:10 UTC 版)
「プラウ」の記事における「モールドボード・プラウ耕に関する問題」の解説
モールドボード・プラウ耕は、急速に土壌資源を使い果たす可能性があり、非常に破壊的な農法であるとして認識されるようになった。たとえ短期的には成果を上げたとしても、長期的に見ればその理由を理解することとなる。 プラウ耕で耕起された畑は、害虫の幼虫や雑草の種子を土中深くに葬り去り、一般的に一度は並外れた収穫量を上げる。しかし、最初の収穫の後にも、継続的にモールドボード・プラウ耕を続けると収穫量が大幅に減少するであろう。モールドボード・プラウ耕による収穫量の減少は、多くの副作用の結果と考えることが出来る。 一番の問題は硬盤の形成、または土壌の下層の石灰化があげられる。ある地域では、つるはしを一度突き立てたくらいでは壊せないほどのとても厚い硬盤であった。硬盤を取り除く唯一の効果的な手段は、非常に強力で高価なトラクタでリッパー、あるいはチゼル・プラウを使い作業することである。この硬盤層は植物の根が通ることが出来ず、結果的に植物の成長と収穫量は制限されてしまう。またこの層は水を浸透させず、作物は洪水の中で溺れているようなものである。 モールドボード・プラウによる深耕(15-20cm以上)は、土壌の有機物含有量を急速に使い果たし、土壌流失を加速させ、これら2つの問題が相乗効果を起こす。下層の土壌が地表に上げられる事によって、前作の土壌の基本構造は壊れてしまい、土の団粒構造は損なわれてしまう。サラサラした土は種子の発芽に好適に見えるが(それはその通りではあるが)、プラウ耕でない方法に比較すると、土塊のないこのサラサラした土は、他の要因もあいまって非常に土壌浸食される率が高い。この増加した浸食率は本来土壌の持つ地力だけではなく、土の中の有機物の働きをも上回る。そのため、通常よりも急速に地力を使い果たしてしまう。 モールドボード・プラウによる深耕(15-20cm以上)は土壌をより硬く圧縮し、土壌の中にある毛穴程の隙間を失ってしまう。土壌は砂とボールでいっぱいに満たされたバケツに少し似ている。各ボールは粘着性がある土の団粒構造を表しており、そのボールが積み重ねられると、ボールは健康な根の生育と適切な排水に必要である多くの隙間を作る。プラウ耕はこれらのボールを破壊してその団粒構造を失わせてしまう。このような状態になったとき、より大きい団粒の中にある土の粒子は砂の様にバラバラになって空気のある隙間が少なくなってしまい、簡単に水が溜まるような圧縮された土壌になり、根の成長が阻害される。
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