ミルトン・フリードマンの新古典派経済学の事例研究
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「ラカトシュ・イムレ」の記事における「ミルトン・フリードマンの新古典派経済学の事例研究」の解説
1972年8月に、ラカトシュのLSEでの同僚スピロ・ラトシスによって新古典派経済学の方法論の事例研究が行われ、「The British Journal for the Philosophy of Science」に収録された。そこでは、ミルトン・フリードマンの方法論が、科学的理論と非科学的理論の線引きが少なくともそれらが新しいテスト可能な実験的事実予測するか否かということを含んでいるラカトシュの評価的な科学哲学で言うような意味で「疑似科学的」だとされている。ラトシスは新古典派経済学におけるフリードマンの器楽的方法論が新しい事実を一切予測していないと主張した。1972年12月のラトシスに対する3ページにわたる書簡の中で、フリードマンは新古典派の独占競争のモデルは実際にはそれまで観察されておらず、後に実験によって確かになった現象を予測することで経験的に前進を示していると反論した。彼が与えた例は「スタンダードオイルの独占に対する標準的な説明は悪い」という、彼が義兄弟のアーロン・ディレクターによって予言されていたと言うところの、そしてマギーによって実験的に確かめられたチェンバレンの独占競争モデルであった。しかし彼はどんな新しい経済的現象がそれによって肯定的に予測され、確かめられたのか明らかにできなかった。ラカトシュは新古典派経済学ではなく科学的事情の問題に関するシンポジウムで公にするためにフリードマンのもとを訪れて彼が1972年にラトシスに送った書簡に基づいた論点を提出しようとした が、フリードマンは彼の来訪を拒否した。 3年後の1976年にフリードマンは「消費分析・金融史・金融理論の分野における業績と、安定化政策の複雑性の実証を称えて」ノーベル経済学賞を受賞した。ノーベル賞受賞講演で語ったところ によればフリードマン自身の非現実的な雇用目標を実現するための拡張的通貨政策を行うことによるインフレの加速度の予測は新古典派経済学による上手く予測された新しい現象の例として他の人に引用されているという。この研究は究極的には長期的には失業とインフレには交換関係が存在するという20世紀の経済学の信念を破壊することになった。ロバート・E・ルーカスはフリードマン・フェルプス・モデルは「明確な切片としてのマクロ経済学がかつて知りそうだった実験的区別」だと主張している。ロジャー・バックハウスは、フリードマンとフェルプスは1970年代の出来事によって確証された新たな事実を予言していたと主張した。マルク・ブラウクは、フリードマンの1968年の論文とその新たな事実の成功した予測はそれ自体フリードマンの通貨主義・新古典派的研究プログラムが前進的リサーチプログラムだったことの証明だと主張した。
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