プレート運動とのかかわり
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/10/16 07:22 UTC 版)
ダーウィンがこの説を発表した時代には、この説がサンゴ礁の構造をうまく説明できることは認められた。しかし、この説が正しいとすれば、海洋にある島の多くが沈み続けていることになるので、そのような現象がはたして起こるものかどうかという点に説得力がないとして、反論も多かった。 現在では、これらの現象は、プレートテクトニクスの考えのもとで理解されている。すなわち、大洋底の地殻は海洋プレートにふくまれ、中央海嶺などでマントルから作られ、水平に移動して海溝の部分で大陸プレートの下へもぐりこんで行くとされる。 このような海洋プレート上に島ができるのは、海底火山が海上に顔を出した場合である。火山が発生する場所はホットスポットなど、ある決まった場所になっている。その地点上で火山が発生し、海上にまで成長することで島ができる。しかし海洋プレートは水平移動するので、火山は次第にホットスポットから離れ、次第に火山活動は収束する。海洋プレート上の島は次第に海溝方向へと移動し、海中に沈んで行き、最後は海溝に没するのである。 そこで、これと沈降説を重ね合わせると、次のような経過が想像される。まず、火山島が海上に顔を出すと、そこが熱帯であると、その周辺にサンゴ礁が発達を始める。それによって裾礁ができる。火山島は次第に水平移動するにつれ、海底は深くなって行くので島が沈降する。それによってサンゴ礁は上への成長を始め、堡礁から環礁へと進んで行くわけである。さらに、最終的にはサンゴ礁は海溝に落ち込んでしまう。これが石灰岩の巨大な岩塊として地層に取り込まれる場合もある。 太平洋の場合、太平洋プレートは西方向に移動して日本海溝やマリアナ海溝に没する。ホットスポットはハワイ諸島などにあって、この辺りで島ができて、西へ向かって移動しながら沈んで行くものと考えられる。したがって、環礁は太平洋でもやや西よりの海域に分布する。また、日本の北大東島と南大東島は、いずれも海岸線付近は絶壁であり、島の中央部は凹地となっている[要出典]。これは、隆起した環礁であると考えられている。他の部分で沈降する現象とは、一見矛盾するようであるが、海溝へ飲まれて行く直前に、一時的に隆起したものと考えられている[要出典]。なお大東諸島のサンゴ礁は、海洋プレート上に存在するためダーウィンの沈降説が適用可能であり、その点で他の琉球列島とは異なる。
※この「プレート運動とのかかわり」の解説は、「沈降説」の解説の一部です。
「プレート運動とのかかわり」を含む「沈降説」の記事については、「沈降説」の概要を参照ください。
- プレート運動とのかかわりのページへのリンク