フランク:プレリュード、アリアとフィナーレ ホ長調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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フランク:プレリュード、アリアとフィナーレ ホ長調 | Prelude, aria et final M.23 | 作曲年: 1886-87年 出版年: 1887年 初版出版地/出版社: Hamelle |
作品解説
1886年からその翌年にかけて作曲された。1888年5月の国民音楽教会にて初演を行ったボルド=ペーヌ夫人に捧げられている。
ヴァンサン・ダンディは、この曲に、1つのソナタとしての構想を見出している。一方、イョルク・デームスは、ソナタとしてではなく、1つの自由な、対位法・即興・交響的な形式を見出している。そして、アリアが「三面祭壇画」の中心を成すとしている。いずれにせよ、この曲全体の終結部における、前奏曲のモティーフとアリアのモティーフが結びつきの他にも、各モティーフが相互に関連し合っていることは確かである。
フランクの他のピアノ作品に比べて、器楽的困難さが増している。とりわけ、演奏に対する指示が多くなされている箇所で、幅広い音程の音を十分に保持する必要があり、難しい。フランクが、横にも十分に開く大きな手をもっていた(12度を一度に弾くことができたらしい)ことがよくわかる作品である。そのため、演奏に際しては、前打音にする、ペダルを使用するなど、奏法の工夫が大切である。
前奏曲 ホ長調 アレグロ・モデラート・エ・マエストーソ 4分の4拍子
一度、聞いたら、忘れられないようなメロディーである。フランクらしい厚い和音のテクスチュアに乗って、このメロディーが繰り返されていく。変奏される合い間に、左右のてのユニゾンの部分などを挟み、推進力の変化を巧みに構築している。
アリア 変イ長調 レント(マ・ノン・トロッポ) 2分の2拍子
コラール風の部分となっている。ここに先立つ前奏曲からみて、3度調にあたる変イ長調で書かれている。
終曲 アレグロ・モルト・エ・アジタート 4分の4拍子
転調を繰り返しながら、この曲全体のクライマックスを築く。調の変化は、嬰ハ短調→変イ長調→嬰ト短調→変ニ長調→ホ短調→ホ長調となっている。また、前奏曲、アリアの部分に比べ、全体的に半音階的である。終結部分では、この曲全体の冒頭の部分が回想され、哀愁を帯びたメロディーを再び歌い上げて曲を閉じる。
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