フロリダ州における再集計
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「2000年アメリカ合衆国大統領選挙」の記事における「フロリダ州における再集計」の解説
州法規定による、機械による再集計が行われると、差が1000票程度に縮小したが、ブッシュの優勢は変わらなかった。 当時パームビーチ郡などで用いられたバタフライ方式と言われるパンチカード式の投票方式では、穿孔くずが切り落とされず穴にくっついてぶら下がり、それが読み取り機によって穿孔と判断されないことがあるという欠陥があった。 ゴア陣営は、州法の定める抗議申立手続きに則って、パームビーチ郡、ヴォルシア郡、ブロワード郡、マイアミ=デイド郡での手作業再集計を求める。各郡はこれを受けて再集計を開始した。民主党員の多いこれらの郡での有効票が増えれば、差し引きのゴアの得票が増えるという算段である。 現状維持であれば勝利となるブッシュ側は、手作業再集計の中止を求める訴訟を連邦地区裁判所に対して起こした。 選挙は一義的には州の管轄であるが、フロリダ州最高裁判所は前代までの知事に任命されたリベラル派の判事で占められていた。一方で連邦最高裁判所は、わずかながら保守派の判事が上回っているため、州裁判所より連邦裁判所への提訴の方がブッシュ陣営にとっては有利となる。 なお、州法では投票後7日以内に州務長官が公式結果を発表するという規定があったため、これに則り共和党員のキャサリン・ハリス(英語版)州務長官は集計期限を14日に定め、当日の集計の結果としてブッシュの獲得票が多いことを声明した。また、ゴア陣営の抗議申立に基づいた手作業再集計結果の算入を拒否し、投票結果の公式認定を18日に行うと声明したが、これに対してゴア陣営は州裁判所に提訴し、州最高裁は21日に、手作業集計の算入と、集計結果提出期限を26日に延長することを命じる判決を下した。 しかし、マイアミ=デイド郡は、疑問票について責任者が都度協議しつつの手作業では1時間に60票程度しか数えられず26日まで到底間に合わないとして、再集計を中止してしまう。ゴア陣営は実施命令を求める訴訟を起こしたが、州最高裁に却下された。26日にハリス州務長官がブッシュ291万2790票、ゴア291万2253票として、537票差でのブッシュ勝利を公式認定する。 ゴア陣営は州裁判所に提訴し、州最高裁は12月7日に再集計の再開と、提出期限に間に合わなかった一部票の有効票算入を認める。これによると算入票分だけでもわずか150票差となった。ブッシュ陣営は翌8日に連邦最高裁に差し止め請求を行う。翌9日に連邦最高裁は差し止めを承認した上、差し止め請求を上告とみなして審理に入った。 連邦法の定める選挙人確定期日である12月12日、連邦最高裁は再集計を禁じる判決を下し、ブッシュ勝利とする州務長官による公式認定を確定させ、翌13日、ゴアは敗北を認め、ブッシュに電話で祝辞を送った。その夜、ゴアは「最高裁判決に同意できないが、受け入れる」「国家を分断させるよりも団結させるべきだ」と、テレビ演説を行った。その後ブッシュも、オースティンのテキサス州議事堂より改めて勝利宣言を行った。これにより争訟は事実上決着し、35日間に及んだ選挙戦は終結を迎えることになった。
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