ビールと税金の歴史
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/13 03:20 UTC 版)
日本で、酒にかける税金の発祥は室町時代とも言われている。江戸時代には酒株として醸造の免許税のような仕組みが存在した。明治時代になると、1873年の地租改正によって酒類税が制定された。しかし、酒類税の対象は清酒(日本酒)のみであり、ビールは課税対象外であった。 1901年に、麦酒税(ビール税)が制定される。これは、前年の義和団の乱を受けての軍備増強が目的であったとされる。当時、酒税総額は地租の総額を超えており、国税で最も大きな税収であった。地主の数よりも、醸造業者数は圧倒的に少なく、地租を増税するよりも、酒税の増税のほうが安易だったことも影響しているとみられている。この課税によって、日本国内の小規模醸造業者は淘汰され、ビール業界の再編が行われることになった。 1940年に酒税法(いわゆる旧酒税法)が制定され、1953年に全部改正され酒税法が制定された。 1975年から1985年(昭和50年代)にビールに対する酒税は4回の増税がされている。1988年の消費税法によって販売時には一般消費税も課税されるようになった。以降、二重課税の状態が続いている。 1997年に消費税率の引き上げが行われた際には、イギリスなどからの圧力もあってウイスキーの酒税は減税となったが、ビールの酒税は据え置かれた。 日本の酒税の中でもビールは税負担が最も重い。国際的に見ても日本のビールにかかる酒税率は高水準である。これは、冷蔵庫が普及する昭和30年代以前において、ビールとは「舶来の高級酒で、富裕層が料理店で飲むもの」であり「贅沢な嗜好品」という見做され方をしていたためである。平成に入ると、酒税のうちでビールによる税収が8割を占めるようになった。それでも、ビール販売価格の内の酒税割合が明らかではないこと、社用接待で飲んで経費で落とすのが普通であることもあって、日本の消費者の反発が高まることもない。こういった不合理とも言える高い税率に対抗するため、日本のビールメーカーは発泡酒を開発することになる。
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