ヒンドゥー教の時代
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/24 07:48 UTC 版)
リグ・ヴェーダの時代には神々の中心とも言える絶大な人気を誇ったインドラも、時代が下り、ヒンドゥー教が成立した時代になれば影が薄くなる。「雷を象徴する強力無比な英雄神」として、変わらず重要な立場にある神であることは間違いないが、神々の中心の座はシヴァやヴィシュヌなどに譲ってしまい、代わって世界を守護するローカパーラ(世界守護神)の地位に落ち着いている。四方にそれぞれ神が配置され[要出典]、インドラはその中でももっとも重要とされる東方の守護神の地位に位置づけられた。 インドラの性質はやや変容し、一部の面が強調された。例えばインドラは女性と、時には夫のある女性ともしばしば関係を持った。ある時は、アスラ神族の王から娘のシャチーを強奪し陵辱した後結ばれている。強奪婚を実行したうえ天界中を戦乱に巻き込みようやく愛を勝ち取ったにもかかわらずインドラはヴリシャーカピと男色にふけったため妻シャチー(インドラーニー)は激怒する。さらにインドラは両性具有者である。インドラはウリシャナシュヴァの妻とも呼ばれ、ウリシャナシュヴァの家族として女として住んだとされる。このためインドラは別名「メーナー」とも呼ばれる。また、ガウタマ聖仙の妻アハリヤーと関係を持った際には、1度目は全身に女性器の印を一千個も付けられる呪いを、2度目は自身の性器を奪われるという呪いをガウタマ聖仙から受けた。 インドラは敵対者にも敗北した。例えば、三界を支配したアスラ王マハーバリに敗北して天界追放の憂き目に遇い、ヴィシュヌ(ヴァーマナ)の力を借りてようやく支配権を取り戻した。ラークシャサ族ラーヴァナ王の子メーガナーダ(メガナダとも)にも負け、メーガナーダには「インドラジット」(インドラに打ち勝つものという意味)を名乗られる屈辱まで味わっている。また、インドラを含めて神々がアスラのマヒシャに敗れ天界を追放されている。この時は女神ドゥルガーがマヒシャを殺したおかげでインドラらは天界に戻った。 インドラは賢者の呪いからも逃れられなかった。例えば、偉大な仙人ドゥルヴァーサス(英語版)から花輪を贈られた後、インドラが自分の象にその花輪を与えたために、インドラも他の神々もドゥルヴァーサスの呪いを受けて力を失い、ダイティヤ達に敗北して天界から追放された。インドラは、ヴィシュヌの助言に従って、神々とダイティヤ達が協力して乳海攪拌を実施することをダイティヤ達に提案した。攪拌は成功したが、神々はダイティヤ達との約束を反故にしてアムリタを独占した。そしてアムリタによって力を回復し、ダイティヤ達に勝利して天界に戻った。
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