パルプ雑誌時代(1920 - 1930年代)
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「スペキュレイティブ・フィクションにおけるLGBT」の記事における「パルプ雑誌時代(1920 - 1930年代)」の解説
パルプ雑誌時代には、サイエンス・フィクションやファンタジーであからさまな性的描写がなされることはほとんどなかった。どの作品を出版するかを決定する権限のある編集者たちが長年に渡り、主な読者である若年男性を守らなければならないと感じていた。1930年代のパルプ雑誌の表紙には触角のある異星人にほとんど下着同然のものしか身につけていない女性が襲われようとしている場面が描かれたりしたが、雑誌の内容は表紙ほど過激ではなかった。そんな中でエドガー・パングボーンは情熱的な男同士の親交を描いたが、そのような作家は例外である。当時の作家たちは、死ぬまでキス以上のことはほとんど書かなかった。暗示された性的描写やごまかされた性的描写はあからさまな描写と同じくらい重要だった。そのようにして、ジャンルSFは当時の社会慣習と一般的偏見を反映していた。これは当時の主流文学よりもパルプ雑誌の小説に当てはまる。 読者層の拡大と共に、多少なりとも明らかな同性愛者を登場させることが可能となったが、当時の一般的姿勢を反映して悪人(あるいは狂人や柔弱なステレオタイプ)として描かれる傾向があった。同性愛者の最も典型的な役柄は「退廃的な奴隷所有小貴族」で、その堕落した専制政治を若い異性愛者のヒーローが打倒するという展開である。このころ、レズビアンは主人公としても悪役としてもほとんど登場しない。 普通でない性的活動をかなり細かく描写した最初のサイエンス・フィクションとして、オラフ・ステープルドンの『オッド・ジョン』(1935) がある。ジョンは精神能力が非常に発達したミュータントで、当時の普通のイギリス社会が課す規則の多くに束縛されない。この小説ではジョンに付き従う年上の少年をジョンが誘惑することが暗示されているが、その関係によってジョン自身のモラルが傷つけられる。
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