ハードの低性能化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/25 01:56 UTC 版)
「コンピュータチェス」の記事における「ハードの低性能化」の解説
その後も人間対コンピュータの対戦は行なわれ、2002年の10月に行われたウラジーミル・クラムニク(世界ランキング2位、レーティング2809。いずれも対局当時。以下同じ)とコンピュータソフトディープ・フリッツとのマッチでは、両者引き分け。2003年1月26日から2月7日までニューヨークで行なわれた、カスパロフ(世界ランク1位、レーティング2847)と「ディープ・ジュニア」とのマッチも、1勝1敗4引き分けで両者引き分けに終わっている。2003年11月11日から11月18日に行なわれたカスパロフ(世界ランク1位、レーティング2830)とX3D Fritz (英語)のマッチは1勝1敗2引き分けで両者引き分けに終わった。 カスパロフの棋力に大きな変化がない(1996年から引退までの対戦成績はほぼ横ばいだった)ので、2003年には汎用PCと一般人が購入できるソフトが、ディープ・ブルーの様な専用機に匹敵する性能を持った事が窺える。 ディープ・ブルーの後は、PCで動くコンピュータソフトが主力であるが、ハードウェアを含めて最強のチェス・コンピュータを作る試みがヒドラプロジェクトで行われている。これは、64ノードの Xeon プロセッサからなる。 2005年11月には、人間とコンピュータのチームによる対戦がスペインのビルバオで行われた。人間のチームはいずれも公式世界チャンピオンの経験者であるルスラン・ポノマリョフ(世界ランク19位、レーティング2704、2002年世界王者)、ルスタム・カシムジャノフ(世界ランク35位、レーティング2670、2004年世界王者)、アレクサンドル・カリフマン(世界ランク50位、レーティング2653、1999年世界王者)の3人、コンピュータのチームは、ヒドラ、フリッツ(Fritz)、Junior の3種。結果は8-4でコンピュータの勝利となり、この頃から人間がコンピュータに勝つことが次第に難しくなってきた。 2006年11月25日から12月5日にかけてディープ・フリッツはクラムニク(世界ランク3位、レーティング2750)と再戦し、2勝4引き分けの勝利を収めている。 2009年8月には、スマートフォンのHTC Touch HDに搭載された「Pocket Fritz 4」がアルゼンチンで開催されたカテゴリー6(参加者のレーティング平均が2376以上2400以下。FIDEマスターの上位からIMの下位相当の水準)の大会に出場し10戦中9勝1分の戦績を収め、グランドマスター級の評価が与えられた。Pocket Fritz 4は1秒間に2万局面を読むが、ディープ・ブルーが1秒間に2億局面を読むのに比べると演算能力は1万分の1に過ぎず、ソフトの進化を印象づけるものとなった。
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