ニパウイルスワクチンプロジェクト
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/29 01:45 UTC 版)
「甲斐知惠子」の記事における「ニパウイルスワクチンプロジェクト」の解説
ニパウイルス(Nipah virus, NiV)は、1998年に初めて同定された病原体であり、ヒトに致死的な脳炎や多臓器不全を引き起こすウイルス。主に東南アジアで流行が発生しており、これまで多数の感染者並びに死者が報告されている。ニパウイルスは、将来大規模な健康被害を引き起こす危険性のある病原体として、2015年よりWHOが提唱する「優先すべき疾患のブループリントリスト (Blueprint list of priority diseases)」に含まれており、ノルウェー政府、インド政府、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、およびウェルカム・トラストの出資によって2017年にダボス会議(スイス)にて発足した、公的機関、民間機関、慈善団体および市民団体の間でのグローバルなパートナーシップであるCEPI(Coalition for Epidemic Preparedness Innovations)による支援の対象となっている。 支援の対象となる感染症は、WHOの提唱するBlueprint list of priority diseasesから選ばれており、ラッサ熱、MERS、ニパウイルス感染症が最初の課題として選定された。甲斐研究室では、ニパの流行地の人々を致死性感染症から救うことを目的として、ニパワクチンの実用化を目指す開発研究を計画していたが、2019年2月、CEPIによって総額34.4億円の支援を受けることが決定。このプロジェクトは東京大学をリーダーとしたグローバルな大型国際共同開発研究として進行中である。東京大学は前臨床試験や非臨床試験の詳細な研究および診断法開発研究をさらに進めるとともに開発研究全体を統括し、製造は Batavia 社、第I相、第II相臨床試験は EU のワクチン開発支援機構である European Vaccine Initiative (EVI)、スタンフォード大学、流行国であるバングラデシュの国際下痢性疾患研究センター(ICDDR)とともに進める計画。この国際共同開発研究によって、5年以内に第II相臨床試験を行い、ニパウイルス感染症発生地域におけるワクチンの実用化を目指している。
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