ドーピングに刑事罰を課す国
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/24 03:12 UTC 版)
「ドーピング」の記事における「ドーピングに刑事罰を課す国」の解説
本項は、森本陽美,「ドーピング規則違反と「厳格責任」原則について」 明治大学法律研究所 『法律論叢』 第83巻2011.2)から各国法制について解説する目的で引用・起筆している。世界的にドーピング違反を刑罰の対象とする国は少数であるが、詐欺罪などの形で何らかの刑事罰を課す国は増加している。第94回オリンピック委員会では各国政府にドーピングのための特別法の制定と適用を求めている。 ドイツでは2007年に「スポーツにおけるドーピングの防止を改善するための法律」が制定され、禁止薬物を所持した場合3年以下の自由刑または罰金、特に重大な場合は1年以上10年以下の自由刑に処せられる。 オーストラリア(ビクトリア州、クイーンズランド州、ニューサウスウェールズ州)では、ドーピングにより何らかの利益を得た場合は詐欺罪として最高10年から15年の自由刑が課せられる。 イタリアでは反ドーピング法9条により、禁止薬物を使用した選手は3か月以上3年以下の禁錮刑と2500以上5000ユーロ以下の罰金刑、禁止薬物を提供した者には2年以上6年以下の禁錮刑と5000以上7500ユーロ以下の罰金が課される。スポーツ団体にも制裁が課される。 フランスでは1965年にドーピングを刑事罰の対象としたが2006年に行政罰を厳格化し、禁止薬物を選手に与えた場合最高5年の禁錮刑と75000ユーロの罰金、禁止薬物を摂取した選手がドーピング検査を拒否したりフランスアンチドーピング機構の判断に服さない場合最高6か月の禁錮刑と7500ユーロの罰金が課される。選手がドーピングにより何らかの利益を得た場合は詐欺罪とし5年以上10年以下の禁錮刑と375000ユーロの罰金が課される。 オーストリアでは2010年より禁止薬物の使用を詐欺罪とし、10年以下の禁錮刑とした。スペインでは2009年より6か月以上2年以下の禁錮刑とした。スウェーデンでは1991年より最高4年の禁錮刑とした。ギリシャでは最高2年の禁錮刑が課される。 アメリカでは2004年にアナボリックステロイド禁止法が制定され、ドーピング使用が違法化された。禁止薬物の処方箋なしでの販売について最高懲役5年または1万5千ドルの罰金または2年間の保護観察処分が課される。再犯は懲役10年、3万ドルの罰金、4年間の保護観察処分が課される。
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