トンネルの特徴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/23 00:31 UTC 版)
「フェーマルン・ベルトトンネル」の記事における「トンネルの特徴」の解説
水底トンネルには、水平に掘削する方法と沈埋トンネルがある。全長が4 - 5キロメートルを超える深いところを通るトンネルでは水平に掘削する方法が普通で、沈埋トンネルは比較的浅い川や港を横断する時に用いられる。沈埋トンネルでは、海底に溝を掘り、砂または砂利の基礎を築き、プレキャストコンクリートで造られたトンネル構体を溝に沈めて、保護層として数メートルの深さに被覆を行う。 フェーマルン・ベルト海峡は沈埋トンネルで横断する計画で、計画時点で全長17.6キロメートルあり、これまで建設された最長の沈埋トンネルとなる。2010年11月30日に、デンマークのフェーマルンASのプロジェクトマネージャーが、ランボル、アラップ、TECのコンソーシアムが提案した沈埋トンネルの設計が採用されると発表した。プロジェクトマネージャーによれば、このトンネルは世界最長の沈埋トンネルであるだけでなく、世界最長の鉄道道路併用トンネルであり、世界最長の水底道路トンネルであり、鉄道道路併用トンネルとしてもっとも深い沈埋トンネルであり、コンクリート製沈埋トンネルとしては世界で2番目に深いものとなる。現時点で最長のコンクリート製沈埋トンネルである、デンマークとスウェーデンの間のオーレスン・リンクのトンネル部に比べると規模が5倍となる。 フェーマルン・ベルト海峡のもっとも深い部分は深さ35メートルであり、トンネルの断面はおよそ10メートルの高さである。このため浚渫船は45メートル以上の掘削能力が必要である。浚渫により、幅40 - 50メートル、深さ12 - 15メートルの溝を建設する。これにより合計で2000万立方メートルの土砂が浚渫される。従来からの浚渫設備ではおよそ25メートルまでしか浚渫できない。水面下25メートルより深いフェーマルン・ベルト海峡の中央部を掘削するために、掴上げ浚渫船やドラグサクション浚渫船(英語版)が必要となる。 提案されているトンネルは全長17.6キロメートル、深さ40メートル(水面下)、そして複線の鉄道が通る。環境への影響を大幅に軽減できること、特に南北方向の橋では横風がトラックやトレーラーに大きな影響を与えるおそれがあるがトンネルは気象条件に影響されないことから、議論の結果トンネル案が有力となった。水平に掘削するトンネルはあまりに高価であるとされた。 プレキャストコンクリートで造られたトンネルの区間は長方形の断面をもち、幅約40メートル、高さ約10メートルあり、4つに分かれた空間が、2つは道路用、2つは列車用となり、これに加えて小さな保守作業用の空間がある。自動車に対しては北向きと南向きでどちらも幅11メートルの分かれた空間が用意され、それぞれ2車線と路肩がある。列車用の北行線と南行線は、どちらも幅6メートル、高さ10メートルである。保守用の通路は幅3メートルある。空間を隔てる壁の厚さはそれぞれ異なるが、トンネル全体の幅は41.2メートルとなる。トンネルは1階層で構成され、2本の道路用・鉄道用の空間は水平に並べられ、道路を西側、鉄道を東側に配置している。これは既存の道路や鉄道の配置に合わせたもので、立体交差させる必要がないようになっている。
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