トヨタウェイ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/09 04:50 UTC 版)
大手自動車メーカーがF1に参入する場合、既存チームを買収して技術・人材・マネージメントといったリソースを利用するのが一般的である。ホンダの場合は、B・A・Rへのエンジン供給に始まり、2006年から自社ワークス化している。しかし、この方法では2005年に撤退したフォード(ジャガー)のように、オーナー(企業)と現場(チーム)の理念が一致しない場合がある。 トヨタは新規にチームを立ち上げただけでなく、「効率化(無駄よけ)」「課題の共有」「改善 (kaizen) 」といった本業の自動車製造における成功原理(トヨタ式)をモータースポーツにも導入し、独自のスタイルで頂点を目指そうとした。傑出した人材よりも組織の協調性を重んじ、2006年にマイク・ガスコインを解任してからは、パスカル・バセロンら各部門の開発責任者を横並びで配置する集団体制を採った。また、ドライバーの移籍市場でもチャンピオン経験者を積極的に採ろうとしなかった。最終的には、その試みが実を結ぶ前にF1撤退の日を迎えるに至った。 トヨタに6年在籍したヤルノ・トゥルーリは、のちにこう語っている。 僕らはまず日本人が何を望んでいるのか理解する必要があった。彼らには彼らのアプローチがあった。"トヨタ方式"と言うんだ。それを外れた方法を採ることは絶対に認められなかった。彼らの目標は勝つことではなかった。本当の目標は彼らの方式でレースに勝てると証明することにあって、別の方法で勝つことにはまったく関心がなかったんだ。とはいえ、僕が彼らを尊敬している理由はそこにある。彼らは最後まで一貫してその姿勢を崩さなかった。 — ヤルノ・トゥルーリ、F1速報 第16戦韓国GP号(イデア、2011年)
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