ディーゼル・電気による直列ハイブリッド駆動
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/11/20 05:04 UTC 版)
「MCS」の記事における「ディーゼル・電気による直列ハイブリッド駆動」の解説
主要な動力機関は車体最前部にまとめられ、保守整備性の向上や各種派生車両設計の為の配置自由度を得ると同時に、イスラエルのメルカバ戦車のように正面被弾時の兵員損耗を最小化する効果が得られる。 新開発された独MTU社製の5R890直列5気筒ディーゼルエンジンが生み出す696馬力の回転力は直結された発電機によって電気エネルギーに変換される。一部はリチウム・イオン・バッテリーに蓄えられ、一部は搭載電子機器や空調機、砲塔回転などの電源として消費されるが、多くが4基の車体駆動・操向用電気モーターに給電される。 モーターとギヤ類は全てが電子制御されたBAEシステムズ製のトラクション・ドライブ・サブシステム(Traction Drive Subsystem、TDS)としてまとめられている。2基の高効率ACモーターによって主な駆動力が生み出され、2段減速ギアを経由して前部の駆動輪に伝達される。大きな駆動用モーターとは別に小さな操向用モーターの回転がそれぞれ左右の駆動用モーター軸にコントロール・ディファレンシャルギアを介してつながれており、駆動用モーターが生み出す大きな回転力を小さな力で制御している。 TDSの2段減速ギヤに繋がれた物理的なブレーキとは別に、電動モーターで発電することで車体の運動エネルギーを減殺する回生ブレーキも使用される。また、従来のトランスミッションによってギクシャクと変速していた無駄が排除され、電動モーターによってスムーズでエネルギーに無駄がない駆動が行なわれる。電動モーターの特性により、駆動力の立ち上がりが瞬時であり、低速時のトルクも従来のトランスミッションとはくらべものにならない。 動力部に直列ハイブリッド式を採用したことで、かさばって重い従来のトランスミッションと駆動シャフトが不要となり、これらの要因から従来型の同等出力のディーゼルエンジンに比べて、40%以上の燃費節約が可能になるとされている。また、従来のトランスミッションに比べて単純で小さなギヤ部は故障が少なく保守頻度や交換部品の供給といった兵站への負担も軽くて済む利点がある。 大きな発電機が生み出す豊富な電力は、将来搭載される新たな情報機器・電子兵器への拡張余裕を提供する。
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