ディレクターズ・カットの例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 05:39 UTC 版)
「ディレクターズ・カット」の記事における「ディレクターズ・カットの例」の解説
サウンド・オブ・ミュージック 当初公開のバージョンでは、修道院長(ペギー・ウッド)が主人公のマリア(ジュリー・アンドリュース)を励ますために、修道院で「すべての山を登れ(Climb Ev'ry Mountain)」を歌い聞かせるシーンがあった。しかし、その後、監督のロバート・ワイズがこのシーンをカットしている(「すべての山を登れ」は、エンディングシーンでも使われており、こちらは存置されている)。カットされた版が「ディレクターズ・カット」と銘打たれているわけではないが、監督による手直しによって異本が作られた例である。 ブレードランナー 初期の試写会で上映されたバージョンについて「分かりにくい」「アンハッピーエンドはアメリカ映画にはなじまない」といった営業的指摘がなされ、前者に対しては主人公リック・デッカード(ハリソン・フォード)の説明的モノローグが追加され、後者に対してはデッカードとレイチェル(ショーン・ヤング)が逃亡するシーンで終わらせるのをやめ、最後に逃避行に成功したシーンが追加されるなどの改変がほどこされた。この改変されたものが1982年に公開されたバージョンである。その後、1992年にこれらの改変の復元を含む別バージョンが作られ、ディレクターズ・カットとして公開された。2007年には公開25周年を記念し、リドリー・スコット監督がふたたび再編集した「ファイナル・カット」が公開された。 ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ 当初公開されたバージョンは配給会社が観衆受けを狙って、物語の時系列を整理し、映画の上映時間を大幅に短縮したもので、批評家からは酷評された。これには監督のセルジオ・レオーネをはじめとするスタッフはショックを受けるが、レオーネが再編集したバージョンが公開されると一転して賞賛され、ギャング映画の傑作として捉えられるようになった。 笑点 大喜利において地上波でカットされたシーン(時間の長いネタ、面白味に欠けるネタなど)をBS日テレの『笑点 特大号』内で「ディレクターズカット大喜利」としてノーカットで放送している。映画・ドラマ作品以外でディレクターズカット版が制作される珍しい例でもある。 スター・ウォーズ・シリーズ ルーク・スカイウォーカーが主人公の旧3部作は、1997年に『特別篇』と題して、当時最新のCG技術を用いて一部内容の変更・修正を施し、シリーズ生みの親のジョージ・ルーカスの構想に近づけたバージョンが公開された。「ディレクターズ・カット」と称されているわけではないが、監督による手直しによって異本が作られた例である。なお本編の変更・修正は、劇場公開→特別編→DVD→ブルーレイと、再公開の度に行われている。ただしオリジナル版はルーカスの意向で封印されており、その結果ファンの間で激しい賛否両論や様々な論争を引き起こしている(一例としてハンが先に撃ったを参照)。 未知との遭遇 1980年の再公開の際、スティーヴン・スピルバーグ監督自身の指揮で追加撮影と再編集が行われた「特別編」が公開された。このバージョンは実質ディレクターズ・カットではあるが、映画会社との制約によりスピルバーグにとっては不本意な編集(マザーシップ内部のシーン追加等)をせざるを得ない部分があり、後に「ファイナル・カット」として二度目の再編集が行われたバージョンが公開された。 四重人格 イギリスのロックバンドザ・フーのアルバム『四重人格』は2011年に最新リマスターに加えて未発表音源を追加収録し「ディレクターズ・カット・エディション」として再発された。映像作品以外で「ディレクターズ・カット」が用いられた珍しい例である。
※この「ディレクターズ・カットの例」の解説は、「ディレクターズ・カット」の解説の一部です。
「ディレクターズ・カットの例」を含む「ディレクターズ・カット」の記事については、「ディレクターズ・カット」の概要を参照ください。
- ディレクターズ・カットの例のページへのリンク