ツィプラス体制
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2012年5月6日に実施されたギリシャ総選挙では、ギリシャ政府による緊縮財政策に反対する国民の支持を受けて52議席を獲得し、二大政党の一翼を担ってきた全ギリシャ社会主義運動を抑えて第2党に躍進した。総選挙後の政権交渉が失敗に終わった結果、6月に行われた再選挙でも得票と議席を伸ばしたが、第2党に留まった。 2015年1月25日に実施された議会総選挙では、単独過半数には至らなかったものの149議席(定数300)を獲得した。これにより中道右派の新民主主義党や中道左派の全ギリシャ社会主義運動といった、従来の二大政党とされてきた勢力を抜いて、ついに第一党に躍り出た。翌26日、急進左派連合と同じく反緊縮財政を掲げる右派系の少数政党である独立ギリシャ人と協議を行い連立政権樹立に合意、党首のツィプラスが首相に就任して欧州初の反緊縮政権となった。 詳細は「ギリシャのユーロ圏離脱」を参照 ツィプラスは選挙で有権者の判断を仰ぐため、首相を辞任し9月20日に総選挙が開かれることになった。ツィプラスは正直でありたいと述べ、EUとの交渉で譲歩を引き出せなかったことを認めた。これに対し、新民主主義党はギリシャの債権者への不誠実だと述べ、ツィプラスを嘘つき者だと批判した。その頃アンゲラ・メルケルはブラジル大統領ジルマ・ルセフと共にブラジルでくつろいでいた。ギリシャへの緊縮財政政策施行と金銭支援に関して、メルケルはIMFの関与はメルケルCDU政権にとって(金銭支援のための)必須条件であるとドイツ連邦議会に約束している。しかし国際通貨基金(IMF)とドイツとは足並みがそろっておらず、IMFはギリシャの債務減免を望んでいるが、ドイツ側が債務カットを拒否している。 選挙戦中盤の世論調査では新民主主義党が支持率約25%でSYRIZAの約24%を上回った。ツィプラスとSYRIZAが反緊縮を打ち出して2015年1月の選挙で勝利しながら、EU側との交渉が不調に終わり、結果としてメルケルとEUに白旗を挙げた。ツィプラスは金融支援の条件として増税や、500億ユーロ相当の国有資産の民営化など緊縮財政政と構造改革をギリシャに施行する約束になった。このことがギリシャ有権者を失望させた。 ツィプラスは二度目のチャンスを与えるように有権者に訴えかけた。ギリシャは単なる欧州の訪問者ではなく、欧州を変えるための主要な役割を果たす国家でなくてはならないとツィプラスは述べた。SYRIZAだけがギリシャ国民を守れるのだとツィプラスは主張した。選挙直前のSYRIZAの集会にはポデモスの代表も応援に駆けつけた。2015年9月20日の総選挙でSYRIZAが得票率35.5%で新民主主義党の28.1%を上回って勝利した。 しかし、2019年の欧州議会選挙では21議席中6議席にとどまり、更に7月7日の総選挙では86議席しか獲得できず、第二党に転落し、下野した。
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