スケーリング型と非スケーリング型
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/12/24 01:16 UTC 版)
「FFAG 加速器」の記事における「スケーリング型と非スケーリング型」の解説
FFAG 加速器に必要とされる磁場は極めて複雑である。1956年に建造された、6986801088299999999♠500 keV 級ラジアルセクター型装置ミシガン FFAG Ib に使われた磁石の計算はイリノイ大学のフランク・コールによりフリーデン社(英語版)製の機械式計算機を用いて行われた。これがコンピューターの使えなかった当時の限界であり、より複雑なスパイラルセクター型や非スケーリング型の FFAG 加速器は洗練されたコンピューターモデリングをもってして初めて可能となった。 MURA の装置はスケーリング型 FFAG シンクロトロンだった。すなわち、ある運動量に対応する軌道はある別の運動量に対応する軌道を写真術的に拡大したものとなる。このような装置ではベータトロン周波数は一定となり、したがってビーム損失に繋がりうる共鳴の交差は生じない。メディアンプレーンにおける磁場が次式を満たすような装置をスケーリング型という。 B r = 0 , B θ = 0 , B z = a r k f ( ψ ) {\displaystyle B_{r}=0,\quad B_{\theta }=0,\quad B_{z}=ar^{k}~f(\psi )} , ここで、次のように記号を定義した。 ψ = N [ tan ζ ln ( r / r 0 ) − θ ] {\displaystyle \psi =N~[\tan ~\zeta ~\ln(r/r_{0})~-~\theta ]} k {\displaystyle k} : 磁場指数 N {\displaystyle N} : 周期 ζ {\displaystyle \zeta } : 螺旋角(ラジアル型装置では 0) r {\displaystyle r} : 平均半径 f ( ψ ) {\displaystyle f(\psi )} ː 定常な軌道を可能とする任意の関数 ここで、 k >> 1 {\displaystyle k>>1} とすると FFAG 磁石は同エネルギーのサイクロトロンに比べて格段に小くなる。欠点は、装置が極めて非線形となることである。これを含む様々な関係式がフランク・コールの論文で示されている。 非スケーリング型の FFAG 加速器の構想は1950年代終わり、2方向衝突ビーム FFAG 加速器への取り組み中に衝突領域におけるビーム強度を増強する方法を検討していたケント・ターウィリガーとローレンス・W・ジョーンズにより発案された。この構想はすぐに従来型加速器用の収束磁石の改善に応用されたが、FFAG 加速器へと応用されるには数十年を要した。 加速が十分に速ければ、粒子はベータトロン共鳴が重なりあって振幅に影響が出る前に通りすぎることができる。この場合、双極子磁場は動径方向に線形となることができ、磁石を小さく、単純にすることができる。「線形・非スケーリング型」 FFAG 加速器の実証機として EMMA(英語版) (Electron Machine with Many Applications) がイギリスのダレスベリー研究所で運用に成功している。
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