スウェーデン独特の要求
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 16:54 UTC 版)
「サーブ 39 グリペン」の記事における「スウェーデン独特の要求」の解説
冷戦期のスウェーデンはノルディックバランスに則った軍事的中立政策路線により、国防は独力での専守防衛が前提であった。このため戦闘機は地理的に近接しているソ連軍などの仮想敵からの先制攻撃への高い抗堪性 が必要とされた。最終的な要求としては、国内各地の山をえぐり貫いて作ったシェルターへ分散配備し、北ヨーロッパのような寒冷地の冬期の作戦にも対応できるよう、雪に覆われた長さ800 m、幅17 mの高速道路の直線区間に離着陸できることが求められた。このため短距離で離着陸(STOL)できる能力と狭いシェルターや高速道路脇の臨時作業場などの充分な設備のない場所での整備、そこから短時間で再出撃を実現する高い整備性が最重要とされた。一方で、同世代を上回る格闘戦能力、長大な航続距離、当時すでに主流だったステルス性の考慮などは予算の兼ね合いで妥協、ネットワーク中心の戦いへの対応は後のアップデートにより実現させることになった。 開発に合わせ1980年代前半から「基地90(en:Bas 90)」と称する飛行場の分散計画が推進され、一部の新規高速道路は代替滑走路を前提として建設された。これらの道路は長さ800 m・幅17 mの直線区間を必ず有しており、直線区間には給油所や駐機場となるスペースが併せて整備された。この種の短距離滑走路は国際的活動に対応するため離着陸訓練にも利用されていたが、このような運用思想がかえってコストを押し上げる要因となってきたことから、2004年に高速道路の使用を廃止したが、2015年からは訓練を再開した。
※この「スウェーデン独特の要求」の解説は、「サーブ 39 グリペン」の解説の一部です。
「スウェーデン独特の要求」を含む「サーブ 39 グリペン」の記事については、「サーブ 39 グリペン」の概要を参照ください。
- スウェーデン独特の要求のページへのリンク