サブプライムローン問題による経営危機
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/11 05:48 UTC 版)
「アメリカン・インターナショナル・グループ」の記事における「サブプライムローン問題による経営危機」の解説
2007年にアメリカでサブプライムローン問題による金融危機が起こった。AIGもサブプライム関連の金融商品を抱えていたため例外ではなく、住宅価格の低下や金融商品の格下げの影響を受け多額の損失を抱えた。損失額は2008年通期で992億9000万ドルとなり、アメリカ企業史上最大の赤字額となった。 リーマン・ブラザーズが経営破綻を起こした2008年9月15日、ニューヨーク・タイムズ紙は信用格下げに直面しているAIGが連邦準備制度理事会(FRB)に対し400億ドルのつなぎ融資を打診している(FRBはこの融資を断っていた)と報じるなど、AIGの経営危機説が急浮上した。市場では次はAIGが破綻するとの懸念が広がり、株価は60パーセント以上も下落、翌16日には一時株価が1.25ドルにまで下落した。AIGは経営危機を回避するために最大で750億ドルの調達を急いでおり、17日までに資金調達の目処がたたなければ、連邦倒産法第11章を申請する以外に手段はなくなるとの報道があった。 FRBは当初、リーマン破綻時と同様に民間金融機関同士で資金の調達するよう促し、ゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースなどに融資を持ちかけていた。しかし、民間金融機関はAIGを支援するだけの資金の余力はなく融資を拒否した。AIGが破綻することにより4000億ドルのCDSなどが顧客や市場に多大な影響を及ぼすことを危惧したFRBは方針を転換し、AIGの資産を担保とし、最大で850億ドルを融資することを決定した。これと引き換えに、アメリカ政府がAIGの株式の79.9%を取得する権利を確保し、政府の管理下で経営再建が行われることとなった。AIGには当初、融資枠の850億ドルのうち借りなかった分については8.5%、実際に借りた分にはロンドン銀行間取引金利(LIBOR)に8.5%を加えた金利が課されることになったが、11月10日に発表された追加救済策ではLIBOR+3%に引き下げられた。この金利はその後の追加支援策により、LIBORの水準にまで引き下げられた。 2008年10月3日には新しい経営方針として、生命保険事業を売却し中核事業の損害保険事業に資源を集中させる方針を発表した。売却して得られた資金はFRBからの借入金の返済に充てられる。 2009年2月5日にニューヨーク証券取引所(NYSE)の株価が上場廃止の1つの基準となっている1ドルを一時的に割り込んだ。回復しなければ、上場廃止の可能性もあったが、NYSEは時限的に上場維持基準を緩和したため6月30日までは上場の維持が見込まれることとなった。 2009年3月11日にロンドンの金融商品部門で5000億ドルに及ぶ損失を出していた可能性を報道された。 2015年8月12日、金融危機当時に米政府がAIGの支配株を取得したのは違法とした6月の連邦請求裁判所の一審判決を不服として、政府は控訴した。
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