クローン病
クローン病は,大腸や小腸などの消化管の粘膜に免疫の異常があるため,長期にわたって慢性的な炎症を繰り返す大変治りにくい病気です.潰瘍性大腸炎とともに消化管の炎症性疾患の代表的なものとして知られています.この病気は,今までは欧米諸国の青年期以降に多い病気とされてきましたが,最近は日本でも急激に増加しつつあり,また15歳以下の年少例も増加しています. これらの病気の原因は不明ですが,遺伝性な素因に,食べ物や腸の細菌などに対する消化管の免疫異常が加わって発病してくるものと考えられています.このうち,潰瘍性大腸炎では大腸の粘膜病変が直腸から口側に続いているのに対して,クローン病では口から肛門に至るいずれの消化管の部位にも連続しない病変として発生し,病変の範囲により小腸型,小腸大腸型,大腸型の三つの型に分類されています.また,潰瘍性大腸炎では粘膜のみが侵されるのに対し,クローン病では粘膜の下の粘膜下層,筋層にも病変が及びます. 症状としては,腹痛や下痢,肛門部周囲の出血や瘻孔形成などの消化器症状のほか,貧血,関節炎,肝機能障害など全身性の異常も多くみられます.診断は,消化管造影や内視鏡検査で特徴的な所見が見られますが,おなかの中に複雑な瘻孔や膿のかたまりをつくっているときには超音波検査やCT検査も必要になります. 治療方針としては,腸管の安静や,食物に含まれるアレルギーの原因物質を避けるために成分栄養療法(ED)などの内科的治療が必要となりますが,消化管の穿孔や狭窄による腸閉塞症状,難治性瘻孔形成,コントロール不良の多量の出血などがあれば積極的に手術を行います. |
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