舌小帯短縮症
舌の裏側の真ん中で口の底に向かっているヒダを舌小帯といいます.このヒダが生まれつき短いことがあり,これを舌小帯短縮症といいます. 舌の先を上の歯の裏の歯肉に付けることができたり,舌を出したときに舌の先の中央がハート形にくびれなければ,まず手術の必要はありません.また舌小帯が短くても程度が軽いときは手術の必要はありません.舌小帯短縮症でもほとんどのこどもはうまく哺乳ができますし,逆に哺乳に問題のある乳児のうちでも,舌小帯短縮症によるものはほんの一部であるといわれています.手術が必要な場合は,舌小帯が極端に短いために哺乳がほとんどできず,成長や発育に大きな問題が生じる場合だけです.しかし,手術をする必要があるかないかの判断については,臨床医のあいだでも明らかなコンセンサスがないのが現状です. 哺乳が進まないことが他の原因によることもありますので,小児科や小児外科で診察を受けられるのがいいでしょう.また,うまくしゃべることができないとき,舌の先の動きが悪い機能性構音障害という病気のこともありますので,この場合は特殊な言語外来で診察されることをお勧めします. 手術は局所麻酔をしたうえでハサミなどを用いて舌小帯を切ります.切る部分は粘膜なので,切った後に縮んでまた短縮してしまうことがありますので,短縮を予防するために特殊な形成術を加えることもあります.程度の強い舌小帯短縮症は舌口腔底癒着症のことがあり,舌尖下面の前舌腺,口腔底の舌下腺や舌下腺開口部を傷つけないよう注意が必要です.剥離後の粘膜欠損が大きく局所で十分被覆できないときは,遊離粘膜移植や粘膜弁移植をすることもあります. |
舌小帯短縮症
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/07/02 03:06 UTC 版)
舌小帯短縮症 | |
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分類および外部参照情報 | |
診療科・ 学術分野 |
遺伝医学 |
ICD-10 | Q38.1 |
ICD-9-CM | 750.0 |
DiseasesDB | 33478 |
舌小帯短縮症(ぜつしょうたいたんしゅくしょう、tongue-tied、 ankyloglossia)は、舌小帯が付着異常を起こしている状態で、「舌強直症」、「舌癒着症」、「舌小帯癒着症」、「短舌症」とも呼ばれる。舌運動の制限の程度によるが、乳児期には授乳障害、成長とともに器質的構音障害が生じる。形態不全、奇形、変形症の疾患群に分類される疾患である[1]。舌小帯が短いため、舌を歯列より前に突き出そうとするとハート型になる。
原因
胎生期における舌原基と下顎歯槽粘膜の分離不全に、生後における舌障害の退縮障害が加わって成立するとされる[1]。
治療法
程度に応じて、口腔外科、小児科、耳鼻科などで小帯切除術を行う。内容にもよるが、基本的に保険適用の対象となる。
頻度
有病率は、深田らの1960年の調査では15~19歳女性で0.56%、西が行った1969年の調査では全年齢で2.55%、東北大学が1989年に行った調査では2.3%であった[1]。
脚注
- ^ a b c 高橋紀子・島田義弘「定期歯科検診で検出された某高専校学生における舌疾患の有病状況」、『東北大学歯学雑誌』第8巻第1号、東北大学歯学会、宮城県仙台市、1989年6月、 19-27頁、 ISSN 0287-3915、2009年2月15日閲覧。
関連項目
舌小帯短縮症と同じ種類の言葉
固有名詞の分類
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