ギャンブル障害の真実と迷信
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 22:56 UTC 版)
「ギャンブル依存症」の記事における「ギャンブル障害の真実と迷信」の解説
ギャンブル依存症(ギャンブル障害)には迷信も多い。David C.S.Richard、Alex Blaszczynski、およびLia Nower編の「ワイリー・ブラックウェル社の異常なgamblingについてのハンドブック」では、エビデンスに基づいたギャンブル障害の真実と迷信の例として以下を上げている。 ギャンブル障害は、疾病(ギャンブルが原因で生じた後天的な障害)モデルで全体を説明することができる → 「×」:医学モデル(障害は個人に帰属)と社会モデル(障害は個人に帰属しない)の統合をめざしたモデルが妥当 否認は、嗜癖(アディクション)に特有であり、このギャンブル障害の進行過程と密接に結びついた要素である → 「×」:否認は嗜癖(アディクション)特有の症状ではなく、いやなことを否定するのは普通。たとえば心理学では「社会的望ましさ尺度が作られ、「嘘をついたことがない」などに〇をしたデータの扱いには慎重であるべきとされている 一般的に、家族に共依存の問題に向き合ってもらうことは効果的である →「×」:共依存、イネブラーなどの用語で、いわゆる依存者の依存行動を支える者の存在が示され、その支えがある故に依存行動から離脱できないといった見解があり、家族は突き放すべきといった主張があるが、そのエビデンスはほとんどなく、むしろ家族の協力や支えが回復または適応に役立つとするエビデンスが多い。 ギャンブル障害の治療は、専門的な資格を持ったものでなければ効果がない →「×」:むしろ、心理職、ソーシャルワーカー等の支えが有効 ギャンブラーズ・アノニマス(GA)は、アルコホーリクス・アノニマス(AA)とほぼ同じか同じ性質のものである →「×」:異なる性質を持つ。同一視しているところは注意が必要 認知技術および認知行動技術は、ギャンブル障害の治療の有効性において、相互援助グループや他の治療方法と同じ程度の効果がある →「×」:ここでいう認知行動技術は認知行動療法に限定されないが、その要素を持つ介入が最も有効。ただし自主性の引き出しが鍵となる。教え込みや説得は効果が低い。 ギャンブル障害の疾病モデルは、臨床データから誕生したものである →「×」:AAによる大きな影響があり、必ずしも臨床データと一致しない 行動変容段階モデルなどのいくつかの説明モデルは、嗜癖(アディクション)回復モデルの代替になる可能性は低い →「×」:むしろ有望 再発防止モデルは統一することができる →「×」:単一障害ではなく統一はできない
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