カーチスP-40
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/29 10:05 UTC 版)
「フライング・タイガース」の記事における「カーチスP-40」の解説
AVGメンバーが当初使用した機体はカーチス社製「P-40」のC型であった。P-40Cはそれ以前からイギリス軍に供与され「トマホークMk.IIB」の名称で実戦で使われていたが、低速で機動力が乏しく上昇力が悪く、さらに高空での性能が良くないなどの問題点を指摘されていた。このP-40Cをアメリカ軍がAVG向けに大量発注した際には、合衆国委員会が不正調査を行ったほどである。しかし旧式と認識されていたP-40であるが、経験豊富なパイロットにとっては扱いやすく、さらに頑丈で急降下性能に優れた機体でもあった。防弾板と自動防漏燃料タンクは被弾によるダメージを軽減し、多くのパイロットを生還させた。AVGが手にしたP-40Cは、もともとイギリスに供与予定だった機体で、上面2色のイギリス空軍式の迷彩が施されていた。これは当時イギリスが購入を拒否したため、宙に浮いた機体を中国が購入したためである。これらの機体には、部隊到着後に機首の下の部分に北アフリカのイギリス空軍第112中隊に倣った「シャークティース(サメの歯)」をイメージしたペイントが施されており、後部胴体にはウォルト・ディズニー・スタジオのロイ・ウィリアムズによりデザインされた虎に翼が生えた記章が描かれた。さらにコクピット横、あるいは前方には各中隊章が記入された。 シェンノートはP-40では運動性に優れた日本軍の戦闘機を相手に格闘戦では勝てないことを知っていた。そこで敵機より上空から降下し、近距離から射撃を加えた後に一気に離脱、その加速を利用して上昇し、また同じことを繰り返す一撃離脱戦法をAVG隊員に徹底させた。この戦術は常に数的に劣勢であったAVGにとって大変有効な攻撃方法だった。P-40Cの武装は主翼に7.62 mm機銃4挺と機首に12.7 mm機銃2挺が装備され、防御の薄い日本軍機に対しては有効であった。訓練を重ねたAVGは徐々に技量を向上させ、バトル・オブ・ブリテンでエースとなったイギリス軍パイロットの操縦するバッファロー(英第67戦闘機隊)と模擬空戦を行い、勝利する者も現れた。 AVGが使用したP-40Cは計99機で、さらにその後エンジン周りを変更し、武装も主翼に12.7 mm機銃6挺と強化された新型のP-40E(イギリス軍名称「キティホークIA」)が30機追加配備された。P-40は次のF型(イギリス軍名称「キティホークMk.II」)から「ウォーホーク」とアメリカ軍でも呼ばれるようになった。
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